あたしが終わらしたのに、もう一度と思った。紙くんからしたら、なんて都合のいい女だと思っても仕方ないんだと思う。ただ、言い訳してもいいのなら、あの当時のあたしの精神状態はいちばん悪かった。仕事を辞めると言った辺りだったかな。全てがキャパオーバーしていて、苦しくて仕方なかった。遠く離れた彼のたまにしか来ない連絡が、かけくれない愛の言葉が、まあ、もう、色々とね、ぐちゃぐちゃとあたしを押し潰し、彼とお別れした。きらいではなかった。別れた後、何度も連絡しようとしたけれど働けていなかったからプライドが許さなくて出来なかった。そうして、1年ちょっと経ってから再会してしまった。

彼もつらい経験をして、あたしも底辺にいて、乗り越えて、遠く離れた土地で生きていて巡り会えた。夢みたいだった。奇跡のようだった。あの時には、言えなかったことばを伝えたくなった。もう一度、となりにいたくなった。これは、あたしのわがままである。彼には、それを押し付けちゃいけない。彼は、混乱している。

待たなくちゃいけない。先に手放したのは、あたしなのだから。どんな結末でもあたしは受け止めなくてはならない。