あ。

進化した人間の未来。
少子化に瀕した人間たちは長い年月をかけて進化しつづけ、性別がなくなった。なくなったというのは、決して社会的に性別がなくなったというわけではなく、男女ともに両性具有となったのだ。
体が大きいだとか、華奢だとか。もしくは本人の意思により性別を選択することができ、子どものうちに一定の食事をとることにより女性、または男性らしい体作りをすることができる。
大人になると丸いシルエットやがっしりした体型など、性別はハッキリしてくるが、心配を選ぼうが男性を選ぼうが毎月生理はくるし、射精もする。
とある男バッカスは、とても男らしくありとあらゆる女性からモテていた。
男性を選ぼうと女性器を使った性行為も経験済みである男性も多くいるが、バッカスは性的興奮を覚えた際に男性器が勃ちあがり、且つその下にのぞく女性器がぱっくり口を開いて涎を垂らしている様はひどくふしだらだと考えていた。現代のセクシュアルマイノリティのように、バッカスのような考えを持つ者もかなり多くいた。
バッカスは女性としての経験がまったくなかった分、とても男らしかった。顔立ちも美しく、鍛えてきたため身体も逞しい。今日バッカスはだかせてくれる女を見つけられなかったため、アダルトビデオを見ながらマスターベーションに勤しんでいた。興奮しているのは男性器だけで、バッカスの女性器は、美しいまでに口を閉ざしていた。
「おっおっ…ふっ!」
ぷしゃっ。
勢い良く男性器から精液を噴出し、しばらくうなだれた後ため息をついて、バッカスは下半身をティッシュで拭った。
そして不意に友人に会いたくなり、バッカスはアポなしで友人、エリスの元へと向かった。いつもそんなかんじで2人はやってきていたのだ。

エリスの家のインターホンを鳴らすと、意外にもエリスは不在のようだった。
バッカスはふと今日の予定についてエリスが何か言っていなかったか思案したが、休日だと言っていたことくらいしか思い出せない。
女とでも出かけたか。
そう思い帰ろうと思ったが、せっかく来たのだから一眠りでもしていこうかと、合鍵を使って少しお邪魔させてもらうことにした。
ドアを開けると明らかに人の気配がした。何か人の声と物音がする。なんだ、エリスいたのか、と思い音のする方へと向かうと。
「…エリス、」
「あっあっあっあおっ!おおんっ!」
ギッギッギッギ!
まず最初にバッカスの目に飛び込んだのは、ガチガチに勃起した男性器の下でみっちりと男性器を咥え込んだ女性器。
そしてその身体から視線を上げていくと。なんとそれはエリスだった。
バッカスと同じくらいがっしりした身体で男らしかったエリスが、見知らぬ者の男性器を女性器で咥え込み、ズコバコと激しく揺さぶられていたのだ。
セックスに夢中なエリスより先に、見知らぬ男がバッカスに気づいた。
そして数秒、ピストンがなくなったために顔を上げたエリスと、目があってしまった。
「…エリス…」
エリスはバッカス同様、両性具を使用することをふしだらだと考えている男の筈だった。
「バッカス! クソッタレっ」
エリスはイライラしたように舌打ちしたが、男が再び腰を打ち付けると再びいやらしい顔つきになり、喘ぎ出した。
「あっあっあっあっめぇっ、ばっか、すぅっ! あっんん!」
バッカスは居た堪れず、その場から逃げ出した。乱暴にドアを閉め、走ってエリスの家を後にした。
がむしゃらに家まで走って帰り、玄関に入ってからようやく酸素を取り込んだ。はぁ、はぁ。荒い呼吸を繰り返しつつ、何とか別のことを考えようとする。
しかし頭から離れない。
みっちり男性器を咥え込んだ女性器。
エリスのイかれたあの顔。
「…ウソだろ…」
バッカスの女性器は生まれて初めて、ぱくぱくと口を開いていた。

やべえ、どうすんだ。マンコが疼くっ

エリスのいやらしい女性器が脳裏に焼き付いて離れない。

俺のマンコもあんな風に、みっちりチンコを咥え込んで…

ずくんっ
女性器がひどく疼く。こんな感触は初めてだった。
どうしたらいいのか。
マンコでぶっとい何かを咥え込み、ズコバコされたい。何か。何か何か何か。
そわそわした挙句とりあえず落ち着こうと、椅子に座ったバッカスは、そこで何かが目覚めた。
「…ふっあっ」
椅子の角に女性器を押し付けると気持ちがいい。更に太ももを擦り付け合うように腰を振ると更に気持ちがいい。
「おっおうっあぁっ!」
ギッギッギッギ。
バッカスは懸命に女性器を擦り付け、気持ちよさにたまらなくなり下着を脱ぎ捨てた。
男性器は赤黒く勃起し、女性器はヒクヒク涎をたらしていた。
ダメだ。
ふしだらなものとあんなに忌み嫌っていたことなのに…。

背徳感に苛まれながら、バッカスは下着を取り払った生の女性器を椅子の角に押し付け、腰を振った。
「あんっあんっあんっ」
ギッギッギッギッ!
くにくにと擦れる女性器。徐々に快感は大きくなっていき、バッカスの腰の動きも大胆になっていく。
「あぁっ…!」
がくんっ!
バッカスは椅子の前に置いてある机になだれ込んだ。
生まれて初めての女性としての絶頂に、バッカスは恍惚として余韻に浸っていた。

これを皮切りに、バッカスの人生が変わり始めた。