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さよならの風



「さよなら」

耳元を吹く風から
君の囁きが聞こえた

さっきしたばかりなのに
手を振ってまた明日って

その明日が来ることを
少しも疑うこともなく

「おはよう」

いつものように伸ばした手は
行き場をなくして彷徨った
届くはずない君のもとへ

あの「さよなら」はこういうことだったの?

何で なんで 教えてよ
ううん、言わなくていいよ

僕も君にさよならするつもりだったから


「さよなら」を乗せた風
肌寒い雪の夜


「ごめんね」

残されるってこんなに
どうしようもない気持ちになるんだね

僕は間違ってた。君もそう。

あの日別れたその背中に
僕は何て言えば良かったのか?

僕は何て
言われたかったんだろう?

君が歩いていく先に
回り込んで抱き締められたなら

君はまだ隣で笑ってくれただろうか

あの時どうすれば良かったのか

わからないまま夢は終わる

「ごめんね」

後悔の溶け込んだ雨が降る
傘をさすことも忘れて
雨が身体に染み込むのに任せた

ずぶ濡れになってようやく気づいた

ひとつだけ言いそびれた言葉

一番先に伝えるべきだったのに

一番最後まで伝えられなかった


「ありがとう」

君に会えて
僕の知らない僕に会えた

君に会えて
「愛」とは何かわかったんだ

君に会えて

僕はきっと「幸せ」でした。


「ありがとう」


僕の頬を撫でる風には
もう春の匂いが微かに薫った


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