好きだよ。と言われた
大好きだよ。と言われた
愛してる。と言われた
そのどの言葉も僕には嬉しくてにこにこ笑っていた記憶がある。
そんなある日君は倒れてしまったね。僕はとても慌てたよ。救急車を呼んで、人工呼吸をして、君の命を必死につなぎ止めようとした。結果から言えばその時君は一命を取り留めたけれど、医者から聞かされた言葉は残酷だった。
「あなたの恋人は治りません。手術をしても治る確率は0.1%ないでしょう。」だってさ。僕は膝から崩れ落ちてしまったよ。なんで彼女なんだ。なんで、なんで、どうして?
疑問が頭の中をぐるぐる渦巻きながら僕は君の病室に行ったんだ。
僕が病室に入った瞬間に君は悲しそうな顔をしながら言ったよね。
「私ずっと不思議に思ってた事があるの。世界には60億人を超える人がいるのに両想いになるってどういう事なんだろうねって。60億分の1×60億分の1だよ?天文学的数字もいいところだよね。」
「………そうだね。」この時僕の頭はやっぱりはたらいていなかったんだと思う。こんな気のない返事しかできなかった。
「だからね、私思うの。恋は盲目と言うけれど、恋は病と言うけれど、本当は恋って呪いなんじゃないかなって。好きって言われると結構それだけで人の事好きになれるんだよね。」
「………」
「だからまさしく私は君に呪いをかけてたんだよ。」
好きだよって。
大好きだよって。
愛してるって。
「あなたが私から離れていかないように、あなたが私しか見れないように、天文学の奇跡をお呪いにして呪いをかけてたんだ。」今からその呪いを解いてあげる。そう言って君は悲しそうに笑ったよね。そして君の口からでたのは隠しきれない嗚咽と
あなたが嫌い。
あなたが大嫌い。
あなたが憎い。
っていう拒絶の言葉。
あの時僕は何も言う事ができなかったけれど、一年経った今でも君の事を愛し続けられている僕なら言える。恋は呪いなんかじゃない。恋は盲目だよ。
たしかに僕は君に愛の言葉をかけられて君を好きになったかもしれない。でもそれは呪いなんかじゃない。君の一途な、盲目的なまでに一途な想いが僕達にくれた天文学の奇跡なんだ。
一年前は僕は笑っているだけだった。にこにこしてるだけだった。
だから今度は僕が投げ掛けるよ。君の時間はもう止まってしまって額縁の中で微笑んでいるだけだけれど、それでも僕は言い続ける。
だって恋は盲目なんだから。
いままでもこれからもずっと好き好き大好き愛してるよ