コンコン

ガチャ


「燭さん」


扉を開けると、いつもは机で頭を抱えているはずの彼がいなかった。


『ぁあ!!!平門、また来た!!』


机の近くにいろいろなおもちゃを散らかせて遊んでいて少女がこちらを指さして叫んだ。


「あ、由(ユカリ)じゃないか。燭さんは??」


『平門になんか教えない!!燭はいそがしいんだから!!』


プイッと頬を膨らませて、そっぽ向いた由。

それを見て、平門はクスクスと笑った。


『むぅぅ・・・平門、キライ。かえって!!』


思い通りにいかないのが嫌だからか、由は小さな手で平門を押すが少女の力ではビクともしない。


『燭が来る前に帰るの!!』


「そこで何してる。」


平門の後ろから、声がした。

平門はクスッと笑い、由はしまったと思い、すぐさま平門から離れ燭のほうへ駆け寄った。


『燭!!平門、また来た!!私、追い返すね!!』


「はぁ・・・また、来たのか・・・。」


燭はため息を吐きながら、由を抱えた。


「えぇ、少々お話でもしようかと。」


「輪がそんなに気楽でいいのか。」


『燭、平門・・・倒す??』


うるうると燭を見つめる。

それに対して燭はため息を再び吐いた。


「あまり、由を刺激するな。

 无とは違うが、由もまた違う能力を持ってるのはお前も知ってるだろ。」


「そうでしたね。それにしても・・・燭さんによく懐いている。」


平門が由を撫でようとしたとき、カプッと噛んだ。




・・・いや、ガブリと。


「っ!?」


平門はまさか噛まれるとは思っていなかったのか、驚いた顔をして由を見た。


『ぃ!!』


由はグルルと喉を鳴らす動物のような表情をして、平門をにらんでいた。


「由、止めろ。」


燭がすぐさま制裁すると、離した。


『平門、まずい。』


「まったく、由。すこし離れていろ。」


由を下すと、すぐさま平門に近づいた。


『燭苛めたら、平門なんて倒してやるんだから!べっ!!』


タッタッタッ


「クスクス、本当に可愛らしい。」


由が去っていたほうを見つめて、クスクス笑う平門。


「分かっててもやるな。面倒が増える。」


「分かりました。それにしても・・・将来が楽しみですね。」


「反省してないだろ。」


本日何度目かわからないため息を吐いた。


 


(あれ?由、今日は燭ちゃんと一緒じゃないの??)(あっ、朔!!)