たまに兄嫁から愚痴メールがくる。
ちっとも仲良くなんかないから、どうして私に兄の悪口を言ってくるのか理解不能。
近しい親族の葬式も自分の用事で顔も出さなかったし、それが悪いことだとも思ってないところも私には理解しがたいところ。
愚痴を零すところがないのでここに書きなぐっておく。
兄嫁は結婚と同時に仕事をやめて遠方と言える距離に嫁いだ。
が、実家離れ出来てないため、数ヶ月は実家住まいを続ける。
当然兄は新居に独り。
友達もいないからという理由で、新居に住んでるのは月に数日が良いところ。
家事はそっちのけで実家や親戚に電話してばかり。
ようやくパートを始めたはいいけれど、休みの日には実家へ、子供を妊娠したらすかさず里帰り。
子供が一歳になるころ周りからの声もあって渋々帰宅。
その間の生活費は兄から兄嫁実家へ送っていた。
人の顔を認識するようになっていた甥っ子は、実父である兄を知らないおじさんだと思いなかなか懐かない。
それを父親としての努力が足りないと責める兄嫁。
新幹線で二時間の距離、仕事もあるし交通費だってかかる。
そうそう会いに行くこともできなかったのは責めることじゃないはず、と私は思った。
そもそも兄が交通費をかけることを無駄遣いだと言っていたし。
おむつ替えをすればやり方が気に入らないと怒鳴り、残業で遅くなって子供を風呂に入れられなければ役立たずと罵る。
かと言ってどうすれば満足するかは教えない。
学習する気もない駄目男と言って終わり。
兄は実の息子にどう接したらいいのか解らないと悩むようになった。
兄は独身時代から子供好きで、自分の子供を熱望していた。
うちの子の面倒もよく見てくれていたし、私もいい父親になると思っていた。
現実は違った。
どこの子供にもすぐに懐かれる兄は、皮肉なことに自分の子供にだけは懐かれない父親となった。
兄嫁の態度も目に見えて酷くなっていく。
旦那が帰宅してもおかえりも言わない。
帰宅と同時に寝室にこもるのだという。顔も見たくないからと。
夜は深夜まで自分時間として趣味に費やしている。
朝は起きられないからと送り出しもしない。
家事は当然しない。
自分と息子の身の回りのことだけやって、兄の食事も作らない。
で、いい加減にしてくれ、と怒られた。
実家にばかりかまけてないでせめてもう少し労ってくれないか、と言われて、ふざけるなと怒鳴り返したと。
パートはしているけれど、給料は自分の趣味に使っている。
兄の収入は家族のもの。
だから兄嫁は自分の小遣いも兄の給料からとっている。
月に数回の実家通いもやめないから、交通費は万単位。
予想通り生活費が足りないらしい。
でもそれは兄が使い込みしてると思い込んでいる。
兄の婚前貯金まで底をついたのを期に、キャッシュカードを取り上げられて、食費として数万円を渡されてやり繰りしろと言われるに至り経済DVだと騒ぎはじめた。
毎日の喫茶店通いはやめられないようなんだけど。
これは全て兄嫁自身のメールと電話から得た情報。
兄が愚痴ってきたわけではない。
兄が交通事故にあった時は、電話の向こうで高笑いしたのだと、それだけは兄から聞いた。
健康診断である病気の疑いありとひっかかった時には、自業自得だと言ってやった、とそれは兄嫁が自分で言っていた。
自分達家族の為に毎日働く夫に対して、労りの気持ちが持てないのならば結婚生活はさぞ苦痛だろうと思う。
たまには夕食に好きな物を用意してあげよう、それで夫が喜んでくれるのが嬉しい。
そんなふうに考えられない夫婦って悲しいなと思った。
だって兄が同じ行動とったら、鬼だと世間は言うでしょう。
妻を省みず、給料は全て自分の好きに使って実家に入り浸り、子供をたてにとって脅しまがいに怒鳴りちらす、なんて。
兄嫁がしてることはどうして許されるんだろう。
そりゃパート程度とは言っても共働きには違いない。
だから家事は折半だと言いたくなる気持ちはわからないじゃない。
私だって実際やってくれたら楽だなーと思う。
けれども、兄嫁が得た収入は家族の為に使う物じゃないんだ。
いい歳した大人が養われてる以上、家事位こなさなきゃ平等とは言えないんじゃないだろうか、と私は思う。
私も確かにフルタイムで働いている。
子供もいて大変なことは多い。
でも、旦那は拘束時間を考えるだけでも私以上に大変な思いをして働いてるんだから(収入だって私は到底敵わない)、夕食に好きな物を一品用意して、少しでも疲れを癒して欲しいと思ってる。
美味しいと笑ってくれたら、私はそれで満足だ。明日は何を用意しようかと毎日考えるのも楽しい。
同じ環境の私なら理解してくれると勝手に思い込んでた兄嫁は、その答えを男尊女卑な田舎特有の考えだと吐き捨てた。
私が口出しすることじゃないのはわかっている。
下手に口出ししたら、兄への態度が酷くなるのは目に見えている。
だから苦言を呈するのもできない。
けれども、この状態ではあまりにも兄が不憫だ。
だから、遠回しに、神経を逆なでしないように言うだけ。
そういう自分が情けない。
せめて愚痴だけでも零させて、兄への攻撃が少しでも減ればいいと思いながら、必死に文面を考えて、推敲を重ねて返信をする。
妹って立場ではこのくらいしかできないんだ。
兄が離婚を思い切ったなら、その時は全力で応援する。
少しでも有利になれるように、証拠集めをしている。
兄嫁からのメールは自爆が多いから、いい証拠になると思う。
だから着信拒否はしない。
多分この人はこの先も変わらないだろう。
いつまでも子供のままで。
遠回しにたしなめられたら自分の都合のいいように解釈して、はっきり叱られたら敵認定して攻撃してくる。
兄嫁父がこの状況を憂いて、実家に帰ってくるのをやめさせたことでさえ、真意が伝わっていない。
兄が兄嫁父に暴力をふるったからだと、ありもしない理由を決め付けている。
家庭に恵まれなかった私たちにとって、自分の家族というものは何にも代えがたい大切なもの。
結婚して家族を築いたら、大切に守っていこう、と昔から誓いあっていた。
有り難いことに、私はそれを理解してくれいい夫に出会い、その両親ともそれなりにうまくやっていけている。
色々あるけど幸せだし、兄もそれを喜んでくれている。
兄は、夫婦仲は良いと必死に取り繕っている。
離婚はしたくないようだから、私も何も言いたくない。
でもね、元々家庭環境が複雑だったせいで、人からびっくりされるほど兄との仲が良かった私にとって、兄嫁のしている仕打ちはとても許せるものではないんだ。
兄嫁が実家に帰ってるから、と私達一家と一緒に食事をした時に、「肉なんて食うの何ヶ月ぶりだろうな」と呟いた兄のやつれた横顔が忘れられない。
あれ程可愛がってくれてたうちの子に接することに、戸惑いをみせていた様子も。
おとーさんもおかーさんもおじちゃんも大好き!って抱き着かれて、こっそり目を潤ませてたことも。
どうか、幸せになって欲しい。どんな形であっても。
それが唯一の肉親である私の願い。