******
またかよ、とは思わないで下さい(苦笑)
バイトの面接の前日、どうしても寝れなくてどうあだでDDSATパロのイラスト書いたらとんでもなく滾ってssまで行ったシロモノです。
イラストとssの背景描写は若干違いますが、死ネタなので、少しでもダメな方は見ない方が良いかと。
大丈夫よ!な方は追記へ→
2011-12-29 19:57
どうあだパロディ
太陽を知っているか、と突然彼は僕に尋ねた。
瓦礫と化したエンブリオンの元アジト、瓦礫の中から使える武器や道具を発掘して持ち帰る任務を受けた小休憩中、雨を凌げる渓谷の隙間で僕らは一つの毛布で温もりを共有していた。
データとしては知っている気がする。けれど実際太陽と云うモノを見たり体験しているのかと云われればNOだ。んーと小さく唸った後、僕は首を横に振った。
「この雲の上に太陽が有るんだ」
明るくて、暖かい。太陽がな。
アートマを持ってから僕らは感情に目覚めた。同時に不意に過る「もう一つの記憶」…其処での僕の記憶は、灰色の壁紙だ。味気ない、この分厚い雲と同じ、灰色。
情報としては認識出来るが、イメージが全く湧かなくて、へぇ、と気の抜けた返事しか返せなかった。
アンタのもう一つの記憶は色に溢れているのだろう。
だけど、僕はその色と云うモノを知らないんだ。
彼が教えてくれるモノは僕が知らないモノばかりで、以前逆にお前はどうなんだ、と聞かれたから自分の記憶を云ってみたら詰まらねえな、と一蹴された。詰まらん、て。そもそも知らない記憶だし。
彼の足の間でまるくなっていた僕は、背後から抱き締める彼を首だけで見上げた。途端じょり、と頬に彼の無精髭の生えた顎が当たって顔を顰めた。痛い。
彼はそんな僕を見て、澄んだ黒い瞳を細めて笑った。
普段無愛想で近付き辛い印象を受ける彼だけど、その実、とても暖かくて優しい人だと云う事を僕は知っている。
人一倍正義感が強くて、誰よりも人を慈しむ心を持っている。
食うか食われるか、そんな世界では邪魔になるだけの感情だけれど。
そんな事は突っ込まなくても彼自身が良く分かっているだろう。
彼だって、誰かを「喰った」事が有るのだから。
「ーニルヴァーナに云ったら、太陽、見れますかね?」
唯一残ったトライブだけが行けると云うニルヴァーナ。カルマ協会の塔は高くそびえ、先端は分厚い雲に隠れて見えない。
「ああ、有るだろうよ」
確証なんて無いのに、彼は自信たっぷりに頷いた。
「そんときは、お前も一緒にな、足立」
「ははっじゃあ尚更死んじゃダメですね、堂島さん」
この時はそう返したけど、正直、ニルヴァーナなんてどーでも良かった。
明るくて暖かいと、空を見上げて云った、そのイメージならアンタはピッタリだ。
青い空も、明るい太陽も要らない。アンタがくれる色が僕の色なんだ。
頭を撫でてくれたアンタがいれば、其れだけで良かったのに。
「…あぁ、もう…クソが…」
重い身体を引き摺って、ようやく戻ってきたアジトで僕は一人ごちた。重いのは僕の身体じゃない、僕の腕の中に居るこの人の所為だ。
任務の帰り、僕達は突然悪魔の襲撃に有った。
此処には他のトライブの構成員は居なかった。奴は …そう、僕らエンブリオンの同胞が飢えにより暴走したのだ。
更に運が悪い事に此処にセラの歌声は届かない。ならば飢えを鎮める手段はひとつしか無くて。
喰らう、
それだけ。
目の前で変身する仲間…いきなりのエンカウントに僕達は変身する間も無く、狂った雄叫びを上げる悪魔のカギ爪が、一番近い僕に向かって振り下ろされた。
「足立!!」
僕が聞いた彼の最後の言葉は、僕の名前だった。
(…ア、レ…?)
…僕は、生きている、のか?
気付くと悪魔は居なくて、代わりに悪魔に変身した僕が、彼を…倒れて微動だにしない堂島さんを見下ろしていて。
僕の身体は血塗れで、床にはあの同胞の残骸が残っていて、あぁ、喰ったのか、と気付いたのは後の事だ。僕は無心で彼を見つめていたから。
『堂島さん…』
酷い傷だ…あの攻撃を受けた彼の背中は深く抉れて、肉が剥き出しになって居る。彼の側に跪き、傷口に回復魔法を唱えた。
徐々に構成される肉と皮膚。だけど、彼が目をさます事は無くて。
只でさえ筋肉の付き方の違う彼なのに、弛緩しきった身体はとても重く、でもそのままにしていてはまた悪魔に襲われるかも知れない。その内起きるだろうと、僕は仕方なしに彼を背負ってアジトへ帰還した。
部屋に戻っても、未だ彼は目覚めない。
次第に冷たくなる身体が怖くて、僕は彼の身体を温めるように抱きしめたまま動けなかった。
「もー、起きてくださいよぅ」
起きたら、余計な労働をさせたことを謝らせてやる。
そして、有難う、と抱き締めて貰いたかった。
今すぐ温もりが欲しくて、
…認めたくなくて。
「…アンタが云ったんじゃん…一緒に、て…」
僕は色を知らない。アンタが居なきゃ、どれが青なのかわかんないじゃん…
太陽なんて見たことないのに、あんだけの情報でどうやって探せっつーのさ。
だからおきてよ、どうじまさん…
アンタを通してじゃないと、僕の世界は意味を成さないのに。
「ばか、ばかやろぉ…っウソつきっ!」
普段の堂島さんにこんな罵声、云えない。でも、怒られても良かった。彼が腕を振り上げてくれるなら、殴られたって構わないのに。
「どうしてぼくなんかを助けたの…堂島さんが居なきゃぼく、何も出来ない…っ」
呆れられても良い…だって僕はアンタを…
でも、どんなに彼を罵った処で、彼の瞼が上がることは無くて…
「どー、じまさん…」
もうあの澄んだ黒い瞳を見ることも、この腕が僕の背中に回されることも、無いんだ、と、
彼が死んだことを受け入れてしまった。
その瞬間、
「う、ああぁぁぁぁぁあああっっ!!」
僕は太陽と色を同時に失ったのだと気付いた。
******
エンブリオンの上司と部下的な関係で。
ナチュラルにイチャイチャするどうあだ最高ですwww
幹部勢の話も入れられたらと思ったのですが、長くなりそうなので辞めました。
でもやっぱり死ネタ苦手です…堂島さんゴメンなさーい!!
コメントする