いつも言われていた。
頑張って描いたね!

いつも言われていた。
色がちょっと独特だよね!

いつも言われていた。
こわいね! 気持ち悪いね!


いつも。いつも。いつも。
だから決めたんだ、その通りで居てやろうって。
頑張るのは当たり前だとして、色彩感覚のずれた色を塗ろう、こわいって言われる、気持ち悪いって言われる線を引こうって。

けれど及ばない。

中途半端な完璧主義は、狂ったデッサンを破り捨てた。
自分の絵に違和感しか感じられない。

足りないのは鬱と狂気。仄暗い世界。
色彩だけ愛された、昏い世界のいろ。

ありふれてきてしまった。
出尽くされた気すらする。
だったら自分の描く意味とは何なのか。

おくすりをください。
世界が昏い光でうつくしく見える薬を。
自分の狂気を余さず描き散らしていた頃の、あの薬を。