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溜息ばかりが出て…
切ない時の晴れた空は
いつもよりも心に突き刺さる。


こんな時決まって浮かぶのは
いつだって屈託なく笑ってた
キミの少年のような笑顔。




ーー芹田さん、今月もあなたがビリ!
ーー頑張る気はあるの?
ーー明日から来なくても良いんだからね!
ーー分かってる?





電車道を歩きながら
夕陽のオレンジ色が滲んでくる。
でも家じゃこんな顔は見せられない。


見せられる…はずない。


アタシは3人姉妹の長女。
一番上のアタシが25、
真ん中の秋恵が高2の17、
一番下の冬子が中3の15。





ちなみに母親が春代。
そこから始まった春夏秋冬の名前。


アタシにはこの二人の妹達を
育てていかなければならない責任がある。
両親は5年前のゴールデンウィークに行った
バス旅行の事故で突然居なくなった。





ーーご両親が……
先程お亡くなりになりました。





あの日、両親が運ばれた
病院からの電話で
目の前全てが消えた気がした。



それからはアタシが親代わり。
だから昼間のアパレルの仕事が終わったら
ソッコー春日の家に帰り夕飯の用意をして、
それからまた電車で天神まで戻り
中洲のキャバクラで働いて
また最終電車で帰る。


1日2往復。これが日課。


ーー源氏名は「芹那」。


この生活の繰り返し。


朝食は次女の秋恵、
お弁当は三女の冬子の担当。
それなりに手がかからなくなって
少しは楽になった。