※べーこんれたすな話がでてきます。注意


****************


「あ、ゆきおさん ちょっと」

上司の中村に突然呼び止められ、仕事が終わってから少し相談したいことがあると言われた。


私は首を捻りながらも、「いいですよ」答える。


私は心の中で中村の言葉を気にしながらも、仕事に戻った。


夜8時を過ぎた頃、中村と私以外の同僚は皆帰宅の途についた。


私は内心ドキドキしながら仕事を続け、皆が帰ったことに気づかないフリをする。


しんと静まり返った職場で中村は「そろそろいいかな」と呟いた。


きた。


中村の次の言葉を待つ。



「相談したいことを言う前に…ゆきおさんが"ふじょし"っていうのは本当なの?」


私は中村の言うふじょし、の意味を必死に考えた。


ふじょし、は婦女子…のことではないだろう。


私は間違いなく女である。そんなことを今更聞いたりはしないだろう。


ふじょし…ふじょし…


いくら考えても一つしか思い付かない。


「腐女子」、だ。


「あの…ふじょしってボーイズラブ好きという…」


「そう!ゲイが好きな女の子のこと。…ゆきおさんがそうだって本当?」


私は内心動揺していた。


完璧なまでにオタク臭と腐女子臭を消し去って生きてきたつもりだったのに、何故バレたんだろう。


アニメや漫画に詳しいことさえ秘匿してきた私の擬態っぷりのどこに穴があったというのだ。


しかも、何故それを中村さんが知っている?


彼は職場でも評判の生真面目な上司で、噂話の類から一番縁遠いところにいるのに。


「…はぁ…まぁ…」


この期に及んで嘘をつくわけにはいかないので、私は言葉を濁しつつ肯定した。


「…そうか。やっぱりか…。それなら、折り入って聞きたいことがあるんだ。男同士でするにはどうしたらいいんだ?」


…する、ってアレですか。

男同士でセ●クスする…ってことですよね。


「え、中村さん。どうしてそんなこと聞くんですか?」


「…言わなきゃ、だめかな」


小動物のように身を縮めて、中村さんは私を見上げた。


なんだ、この人。めちゃくちゃ萌えるんですけど!


「ダメに決まってます」


こんなかわいい人を甘やかすなんて、私のドS心が許さないのだ。


「…好きな人が、男の人なんだ。それで…あの…」


男同士でしたことはないから、どうすればいいのか教えて欲しい…ということだろう。


恥ずかしそうに言う中村さんに私は満足しながら、微笑む。


「そういうことなら協力しますよ。じゃあ、これから一緒に薬局でも行きますか」


「薬局?」


中村さんが首を傾げる。


「男同士には道具が必要なんですよ」


私は緩みそうになる頬を制して、そう耳打ちした。


途端に赤くなる中村さんの頬。


あぁ、この人は「受け」だ。


そう確信しながら、私は中村さんと薬局へ向かった。





…という夢を見ました。



※このお話はフィクション(夢)です。


ゆきおの知り合いに中村という人はおりませんし、ゆきおの普段の生活とこのお話との関連は一切ありません。