2015/3/25 Wed 22:06
夢に、夢に3


話題:連載創作小説






息苦しくて目を覚ました。
また、夢。
天井は俺の部屋じゃない、照宗のものでベッドも布団も、そう。
時計は1時20分。世間も眠っていて音もない。
部屋の主は勉強に力尽きたのか、卓上ライトが付いたままの机に突っ伏して寝ていた。
人の胸の上で丸々太ったサバトラ猫が丸まっていて、人の顔を見るなり可愛くない声で「うにゃーん」と鳴く。
お前のせいで妙な夢を見たじゃないか。
猫を抱き上げて床に移動させるが、すぐに枕元まで戻ってきて毛繕いをし始めた。
フカフカで少し獣臭い柔らかい毛が頬にあたる。

今度こそ夢じゃないよな。

頬を少しつねってみると、痛い。
夢の中で夢を見るだなんてどうかしている。それよりも、どこまでが現実だったのかわからなくなる。
雨に濡れてここに来たのは現実で、教室は夢で、今は現実、であっているか。
いや、ここに来たのは殴られて家出したからじゃない。
初めから勉強会という口実で泊まる予定だったことを思い出した。

訳がわからない。
俺もとうとうおかしくなってしまったのか。
考えているうちに夢の内容がどんどん薄れていく。
きっと次に起きる頃にはすっかり忘れているだろう。
またやってくる眠気と重い耳鳴りに包まれて俺は目を閉じた。

これも夢なんじゃないかと考えたはずだが、もう覚えていない。


[終わり]

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