2015/3/21
Sat
22:01
夢に、夢に2
話題:連載創作小説
頭を叩かれて目が覚めたそこは照宗の家ではなく、毎日通う教室だった。
寝惚けた頭の上で数学教師が教科書片手に呆れた様子で見下ろしている。
「つまらんだろうけど、先生、話は聞いてほしいんだよなー」
その言葉に周りから失笑が漏れる。
いつから眠っていたのかわからない。
いや、それよりもさっきのが夢だったのかどうかが曖昧で酷く気持ちの悪い感覚だ。
あまりにもリアルすぎる。
寝ている生徒を起こせて満足げな教師は授業を再開する。
後ろをコッソリ振り返ってみると、いるはずの照宗はおらず空席だ。
新学期が始まってしばらくは新しいクラスに馴染めないで保健室に通うのは毎年のことだが、それにしても今回は長い。
受験というプレッシャーが加わったからなのか、わからない。
せっかく起こされてもやはり退屈は退屈でしかない。
刺激が欲しい。
身体的じゃない、精神が満たされるもので。
でもきっとあの父親のもとでは叶うはずはないだろうな。
『お前は勉強が仕事だ。学生である以上親の言うことを聞いて、キッチリ勉強していればいいんだ。やるべき仕事もせずに、楽して生活しようとするやつは会社の金喰い虫、害虫でしかない』
そんなこと、言われなくったってわかっているのに。
息苦しい。
いっそのこと、このまま窒息でもして死んでしまえたらいいのに。
[続く]
コメント(
0)
back
next
[このブログを購読する]
このページのURL
[Topに戻る]