ハロウィン
リンとトモヤ series

「トリックオアトリート!!!」


お帰りなさい、より先に、マンションの一室に響いたのはリンの声だった。

「おー、気合入ってるなー」

トモヤは、楽しそうに言う。
そう言いたくなるのも、この部屋と、リンの姿を見れば、仕方ないだろう。
部屋中に、ジャックオランタンやら、魔女やら、お化けがいて、リンはというと、猫耳を生やしているのだから。


「うんっ! で、トモちゃんは、お菓子くれるの?! それとも、イタズラ?!」


リンはニコニコ笑いながら、両手をそろえて、トモヤに差し出した。

「もちろん、お菓子だよ」

トモヤは、持っていたビニール袋を差し出した。
中身は、ハロウィンバージョンのお菓子である。

「わ、すごーい!!! 可愛いっ!」
「だろ?」

トモヤは、得意げに笑った。

ソファに腰掛けたトモヤは、リンの尻尾が揺れるのを目で追いながら、リンに声をかけた。

「リーンー」
「なぁに?」
「トリックオアトリート」
「…ん?」
「オレには、お菓子無いの?」

リンは、ケロッとした表情で、言い放った。

「ハロウィン予算は、部屋の装飾と、衣装になっちゃった!」

トモヤは、予想通り、とでも、言いたそうな顔だった。

「じゃ、リンには、イタズラだな」



end

話題:SS



12/10/24  
読了  


-エムブロ-