セックスと愛
ショートストーリー

「セックスだけが、愛だと思ってるだろ?」

そう言われて、あたしは、何も言い返せなかった。半分はそう思って居たし、もう半分はそうは思って居なかったからだった。

あたしは、曖昧に笑ってみせた。そうすると、彼は嘲笑うみたいにして、あたしに愛撫をしかけた。頭がとける。とけかかった頭で、あたしは必死に思考した。

セックスが、愛じゃないなら、あたしと君の関係は、ただのセフレみたいじゃないか。夜になると逢いに行って、セックスして眠って、起きたらセックスして、その繰り返し。だから、セックスが愛だと思うあたしがいる。

その隣で。

愛した人以外とも、セックス出来るあたしがいたし、年老いたその時、愛は無くなると言うのだろうか。そもそと唯の生殖行動だ。セックスだけが愛だなんて、馬鹿げてる。そう思うあたしがいる。

「何考えてるの?」
「君の、ことっ」

責めたてられて嬌声が漏れた。

「あい、してる」
「俺も」

ほら、愛だった。とあたしが得意げになった。
騙されてるだけよ。とあたしが不機嫌になる。

どうしようもなくなって、あたしは、考えるのをやめた。代わりにセックスに没頭する。

こいつが傍に居るなら、愛だとか、愛じゃないだとか、どうでも良いかな、と思った。



end
話題:SS


13/10/07  
読了  


-エムブロ-