それは、三蔵一行の野郎(いわずもがなエロ河童)の軽はずみな行動から始まった……。
「おーい姫羅チャン♪」
「ふぇ?」
葉達が居た寺院からしばらく進んだ先にあった小さな村に滞在していた一行。
悟空と一緒にお菓子を頬張っていた姫羅に悟浄が何やら飲み物を運んできた。
姫羅は口にくわえていた菓子を全部食べてから悟浄に振り返る。
「何?悟浄」
「姫羅にジュース入れてきたから飲みな♪」
「あー!姫羅だけズリィぞ!俺にもくれよ!!」
「アホ!!お前の為に入れたんじゃねぇんだよ!!」
言いながら、悟浄はぐいっと悟空を引き寄せ、姫羅に聞こえないように耳打ちする。
「ありゃジュースじゃなくて酒なんだよ、さ・け!!姫羅には言うなよ」
「え?なんで嘘吐くんだよ?」
「昨日寺院で酒勧めた時、姫羅酒弱いからって断っただろ?」
「うん」
「んで、飲ましたらどんな事になるのか見てみたくなったからジュースと思わせて飲ませるワケよ」
「なんだか邪な事考えてる人が居ますねぇ」
「ほっとけ」
二人の話を聞いていた八戒と三蔵は呆れ顔。
なんとも子供みたいな思考だな悟浄。
ガシャン!!
突然聞こえたガラスの割れる音。
何事かと全員が音の聞こえた方を見遣ると…………
「キュイ?」
項垂れ、手に持っていた悟浄から渡されたコップを落としぐったりとしている姫羅。
様子がおかしい姫羅を心配し、カイリが顔を覗き込んでいる。
コップの中身はからっぽだったようで床は汚れていない。
つまり、姫羅は全部飲み干してしまったのだ。
「き、姫羅!?どうしたんだよ!?」
姫羅の異状に悟空がいち早く駆け付け、姫羅の両肩を掴んだ。
「……悟浄。お前あいつに何飲ませた…」
「や、アルコール弱いチューハイだけど…え、まさかアレでつぶれたワケ!?;;」
「悟浄…お酒に弱い人をあんな目にあわせて…覚悟はいいですね?」
腹黒保父さん、発動。
ダラダラと滝の如く冷や汗を流す悟浄をよそに悟空は反応のない姫羅の顔を心配そうに覗き込む。
「姫羅…?マジで大丈夫か?俺水持ってく…」
ガシッ!!
「へ?」
水を持って来ようとした悟空の腕を、姫羅が掴んだ。
突然の事に悟空は驚き、目を白黒させる。
「き、姫羅…?;;」
恐る恐る名を呼ぶ悟空。
姫羅はゆっくりと顔を上げ……
「あー、悟空らぁー」
頬を薄紅色に染め、舌足らずな口調で満面の笑顔でそう言った。
そして……
「んむっ!!??」
悟空に、キスをした。
口と口で。
突然の出来事に悟空は目を見開いて耳まで真っ赤にしてフリーズ。
悟浄、三蔵、八戒の3人はまるで天変地異でも起きたかのような顔でフリーズ。
その状態が一分弱続き、いち早く我に帰った悟浄が二人を引っぺがした。
「なっ、ななな何してんだお前らはぁぁぁ!!??」
「ぅえ?らって…好きな人とちゅーするのフツーれしょお?あとれちゃんと三蔵達にもするよぉ?」
「いやいやいや!!姫羅キャラおかしい!!別人になってるからっつか酔いすぎ!!;;;」
力いっぱい突っ込む悟浄。
悟空は耳まで真っ赤にしたまま未だフリーズ中。
どうやら姫羅はただ酒に弱いだけじゃなく…酔っ払ったらキャラ崩壊を引き起こすらしい。
「つか姫羅お前男なんだろ!?悟空も男なんだぞわかってる!?」
「えー?そんらの知ってるってぇー。れもらいじょうぶ!ボクほんとはおn「Σピイィィィ!!!!;;;;」」
自分の秘密を笑顔でカミングアウトしようとした姫羅をカイリが全力で阻止。
もはや自分が男装してる事すら頭にないのか。
「ぅー…なんか暑い……脱いじゃおー「ΣΣピイィィィ!!!キュイィィィ!!!!;;;;」」
さらにはフラフラと体を揺らしながら服まで脱ごうとする姫羅を再びカイリが自分の主人にそんな事させてたまるかと全身全霊で阻止。
そんなカイリの苦労もつゆしらず、酔っ払い姫羅は不服そうに唇を尖らせた。
「もー、カイリなんれ騒いでるのぉ?そーらぁ!ねーみんなでお風呂入りに行こー!みんなまだ入ってないしぃ」
「八戒。あの酔っ払いなんとかして部屋に戻して寝かせてこい」
「名案ですね三蔵。賛成です」
「にゃ?」
八戒はひょいっと姫羅を捕まえ、横抱きにしてブーイングする姫羅を宥めながら姫羅の部屋へと運びに出た。
嵐が去った部屋に残された3人の間になんとなく気まずい空気に。
「……なぁ悟空」
「Σへ?」
「舌、入った?」
「…や、フツーにチューだけ……」
「何聞いてんだこのエロ河童が」
悟浄の質問に再び真っ赤になりながらも答える悟空と悟浄に今にもハリセンを振り下ろしそうな三蔵。
なんとも雰囲気も何も無しに突然ファーストキスを奪われた悟空さん。
そして翌日……
「ぅー…なんか頭痛い…昨日悟浄からもらったジュース飲んでそれから……どうやって部屋に戻ったっけ…?全然思い出せない…」
「キュイ?」
「ん、大丈夫だよカイリ…心配してくれてありがと」
自分の肩に止まり、頭を押さえる自分を心配そうにしているカイリの喉を軽く擽ってやりながら皆が待つ部屋に入る姫羅。
中では既に4人が揃っていた。
「皆おはよ」
「お、おぉ…はよ姫羅チャン」
「おはようございます姫羅」
「………………」
何故か吃る悟浄といつも通りの八戒と三蔵。
様子のおかしい悟浄に首を傾げながらも、姫羅は八戒に歩み寄る。
「八戒…頭痛薬とかある?なんか朝起きたら頭痛くて…」
「…もしかして覚えてないんですか?」
「え?何を?」
「いえ、覚えてないならそれでいいんですよ。ちょっと待ってくださいね」
悟浄に続き、なんだか変な八戒に姫羅はまた首を傾げ、まだ挨拶を交わしていない悟空に気付き、次は悟空へと歩み寄った。
「悟空。おはよ」
「Σお、おおおはよッ…」
「何吃ってんの悟空…なんかあったの?;;」
「な、ないない!!なんもない!!マジでなんもねぇから!!」
顔を真っ赤にして両手をちぎれんばかりに振る悟空。
……一体、一晩の間に皆に何があったんだ?
またしても首を傾げる姫羅だが…きっと知らぬが仏。
その日一日、悟空は姫羅と顔を合わせる度に真っ赤になり、おかしな行動ばかりとっていたとか。
4人は昨夜の事は秘密にし、色んな意味で姫羅を守る為に二度と姫羅に酒は飲ませまいと誓ったんだとか。
*************
姫羅……
やっちまったなァァァァァァ!!!!!!!!!
これは確か下な奴と同時に考えてたはず。
まだUPしてなかった…よ…な……?←
一応番外編って感じです
実年齢は(ピーー)歳だからお酒飲めるんだぜ(`・ω・´)キリッ←