学パロフォルスタでssです。
このほのぼのした雰囲気が書いてて楽しいです…
そして本編ではあまり他の方と絡めないのですが、
学パロだと色々な方と絡めさせていただけるのが楽しいです←
*attention*
・フォルスタSS
・学パロ(Laurentia!)の設定です
・ヒトラーさんとクビツェクさんにも出演していただきました
・ほのぼのな感じです
・こう言うやり取りしてたらいいなという…
・相変わらずの妄想クオリティ
・ナハトさん、相変わらず勝手に済みませんでした…!
いじょうがOKという方は追記からどうぞー!
静かな空間に響く、本のページをめくる音。
乾いた紙独特の匂いがする図書館の一角で、
フォルは本のページをめくっていた。
ふと顔を上げ、時計を確認する。
そろそろ、彼の仕事も終わる頃だろうか。
わざわざ図書館まで迎えにこさせるのも悪いかな、と思って、
門で待ってるからね、といったようなメールを送る。
携帯をポケットにしまうと、読んでいた本を元の棚に戻しに行った。
本をしまってから改めてその図書館にある本を眺める。
まだまだ読んだことない本だらけだ。
ほぼ毎日此処に来て、色々読んでいるというのに。
「これだけ読んでもまだまだあるんだもんなぁ……」
フォルはすごいよなぁ、と小さく呟いてから、鞄を持ち直す。
そしてそのまま外に出て行った。
空は快晴。
梅雨の晴れ間のこのカラッとした空気は好きだった。
じめじめとした湿気は好きではない。
雨だと髪がはねる、とこぼしていた愛し人の姿を思い出して、
フォルはひとり小さく笑った。
と、門の傍まで行った時、そこに人影があるのに気づく。
長い黒髪、赤の瞳。
片一方の目は長い前髪で隠れている、彼。
フォルが近づくと彼……ヒトラーはその気配に気づいて顔を上げた。
「お前は……」
「こんにちは。総統閣下。君も、人を待ってるの?」
「あぁ……グストル、少し部活に顔を出してくると言っていたから」
フォルの問いかけに、ヒトラーはこくりと頷く。
ヒトラーの待ち人の姿はフォルも知っていた。
幾度か、顔を合わせたことがある。
穏やかで優しげな雰囲気の少年だ。
彼と一緒にいるときのヒトラーの様子も、覚えていた。
待つ人は違えども、その関係はきっと同じようなもの。
その証に待っているこの時間にも、
感じる雰囲気は早く彼が来ないかという待ち遠しさだ。
それから少しだけ時間が経った頃。
「アドルフー!」
聞こえた声にヒトラーは顔を上げる。
ぱたぱたと走り寄ってくる、亜麻色の髪に薄紅の瞳の少年。
ヒトラーは彼を見て、微かに嬉しそうな表情を浮かべている。
彼の前まで走ってくると、少年は明るく笑って、いった。
「ごめんね、お待たせ」
「大丈夫……」
そんなに待ってないから、とヒトラーが返すと、
彼……クビツェクはそう?と言って微笑んだ。
そしてヒトラーの隣に居たフォルに視線を移して、首を傾げる。
「君は……スターリンを待ってるのかな?」
「うん。もうすこしで来ると思うから」
さっき終わったってメールあったしね、とフォルはそう返す。
クビツェクは多分そうだねというように頷くと、ヒトラーの方に向き直った。
「じゃあ、僕たちはそろそろ行こうか」
「あぁ……じゃあ、またな」
「またね」
フォルに手を振るヒトラーとクビツェク。
フォルもまた、彼らに手を振り返す。
遠ざかっていく背中を見送り、フォルは小さく笑った。
決して、べたべたといちゃついているわけではない。
けれども、彼らから感じる雰囲気は穏やかで、暖かで……
見ていて心地よいもの。
恐らく愛称であろう呼び名で呼び合っていることからも、
彼らの仲の良さが、窺える。
恋愛感情なんてものを超越したような、特別な何かを。
そんなことを考えていたとき、ぽんと肩を叩かれた。
「わ!?」
ぼんやりしていたフォルは驚いたらしく、小さく声を上げる。
無論振り向けばそこにいるのはスターリン。
フォルが驚いた声をあげたことに少々済まなさを感じたか、謝る。
「わ、悪い……」
「あ、ううん。いいんだよ、ごめん。ぼうっとしてた」
フォルはそう言って苦笑すると、スターリンにいった。
「お仕事お疲れ様。今日はちょっといつもより遅かったね?」
「あぁ、生徒会室の掃除してたから、遅くなったのだよ……」
ごめん、と彼がいうとフォルは首を振った。
そして、彼の髪に絡まっている掃除の時についてしまったのであろう埃を、
細い指先で摘みとる。
フォルはその埃を地面に落としつつ、小さく笑って、いった。
「随分熱心にやってたんだね」
「そんなに広い部屋じゃあないからまだマシなのだよ」
あれで広かったら本当に面倒だ、と言って溜息を吐くスターリン。
フォルはその表情にくすくすと笑う。
「さて……今日はどうする?バイトは?」
「今日は休みなのだよ」
「そうかぁ……じゃあ、何処かいかない?」
久しぶりに、と言ってフォルは笑う。
スターリンは躊躇いがちに頷いた。
「やった!」
無邪気に笑うフォル。
きゅ、と優しく手を握られて、一瞬赤面するも、スターリンはその手をそっと握り返す。
フォルはそのまま、彼の手を優しく引いて歩きだした。
少し歩幅が違うから、決して彼を置いてきぼりにしないように、
歩幅を合わせて、ゆっくり歩む。
自分たちも"彼ら"のように見えていたらいいな。
フォルはそんなことを思いながら、隣を歩くスターリンを見つめる。
「?どうかしたか?フォル」
きょと、とするスターリンを見て、フォルは笑った。
「ううん。君のことが本当に好きだなぁって思っただけ」
「は?!」
いきなり何を言い出すのだよ!?と顔を真っ赤にして叫ぶスターリン。
そのさまもなお、愛おしい。
フォルは悪戯な笑を浮かべ、"だって事実だもの"と返す。
そう、事実。
全てが愛しくて、全てが大切で。
こうして隣を歩くことが出来るという何気ない時間が、何より嬉しい。
「だから、そう言うことをポンポン口に……聞いてるのかよフォル!」
「聞いてる聞いてる」
「絶対聞いてないだろ……」
もう知らねぇ、と少しむくれるスターリンに、フォルは笑う。
拗ねた様子も可愛いな、と思えども、わざとそれは口に出さずに。
握った手に少し、力を込めた。
―― 薄紅に染まる頬 ――
(一緒にいるのが心地良い。君の全てが愛おしいから。
…なんて言ったらきっと君はまた顔を赤くするね)
2013-5-31 06:45