西さんとぺルのお話です。
こうしてマントで遊ぶぺルとそれをみて苦笑気味な西さんを書きたくて…←
*attention*
西さんとぺルのお話です
ほのぼのなお話です
ラストはワルキューレのお二人も
西さんのマントで遊ぶぺル
それに苦笑気味な西さんを書きたくて…←
何だかんだで許容な西さんかわいいです(^q^)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
穏やかな午後の食堂に入ってくる、長い黒髪の少年。
彼……ペルはきょろきょろと周囲を見渡す。
現在不在の兄のように慕うシュタウフェンベルク。
副官であるヘフテンと一緒に外の任務に出掛けている彼。
それが、そろそろ帰ってくる時間なのだ。
昼食時から少しずれた時間。
任務が終わったら食堂にいくからそこで待っていてくれと言われて、
ペルはそろそろ彼が帰ってくるだろうというこの時間に此処にきたのだった。
しかし、どうやらまだ彼らは帰ってきていない様子。
ペルは少ししょんぼりした様子だ。
どうしよう、と彼は少し悩む。
一旦部屋に戻るか、此処に残るか……
ペルがそう悩んでいた、そのとき。
「ペル?」
聞こえた声に、ペルは視線をそちらに向ける。
そこに立っていたのは皇御国の騎士である西。
ペルもなついている騎士だ。
「バロン西……」
そう彼を呼びながら、ペルは西に歩み寄る。
西はそんな彼を見て"久しぶりだな"と挨拶をした後、
きょろきょろと周囲を見渡して、小さく首をかしげた。
「あれ、伯爵は?」
西はペルにそう問いかける。
彼が示す"伯爵"は、ペルが待っている人物……シュタウフェンベルクのことだ。
西とシュタウフェンベルクは同じように高い位の人間。
それ故、親しいのだろうということをペルもわかっていた。
「シュタウフェンベルクはお仕事……
もうすぐ帰ってくる、から……」
此処で待ってたの。
そういうペル。
西はその言葉に納得したように頷いた。
「なるほどな……
一人でいるの、珍しいと思ったんだよ」
そういいながら西は小さく笑う。
ペルはそれを聞いてこっくりと頷くと、小さく首をかしげた。
「バロン西は、何処かお出掛け、なの?」
マント、とペルは呟く。
そう。
西は赤いマントを身に付けている。
ペルにとっては、それを身に付けているのは出掛ける合図、らしい。
西もそれを認識したようで、あぁ、と小さく声を漏らした。
それから首をふって、いう。
「いや、出掛けねぇよ。
ちょっと此処で休憩してたんだ」
寧ろ帰ってきたとこ、と西は苦笑する。
ちょっとイリュジア国内を見て回ろうと思ってさ、と彼はいった。
ペルはその言葉にへぇ、と声を漏らした後……
じっと、西を見つめた。
そんな彼の視線に西はまばたきをする。
そして少し困ったような顔をした。
「え。どうした?」
俺何かおかしいか?
そういいつつ、西は自分の体をみる。
そんな彼を見つめた後、ペルは彼の後ろに回った。
そのまま、西のマントのなかに入り込む。
「うわ?」
西は思わず驚きの声をあげた。
いきなり自分が身に付けているもののなかに入ってきたのだ。
当然の反応だろう。
ペルはそうして西のマントにくるまったまま暫くおとなしくしていたが……
やがて、何か思い付いたかのように、西のマントをつかみ、バタバタさせた。
「……暖かい」
ペルは満足げにそういう。
そのまま西のマントをバサバサさせる彼は何処か楽しそうで……
しかし、西は困った表情だ。
「……それ、楽しいか?」
西はペルにそう問いかける。
ペルはその問いかけに一度手を止めた。
それから彼はこっくりと頷く。
「楽しい……
それに、ね……暖かくて、気持ちいい」
ペルはそういいながら満足そうに西のマントにくるまっている。
時々思い出したように彼のマントをぱたぱたさせる。
西はそんな彼の様子にふっと笑った。
そして少し呆れの点ったような声色でいう。
「全く……何が面白いんだか」
ただマントに潜ってるだけなのにさ、と西は呟く。
しかし、決して迷惑そうということはなくて、ペルが好きなようにさせている。
元々、別に子供は嫌いではない。
強いていうなら、他人と付き合うことが得意でないために、
ペルのことも上手に扱ってやることは出来ないのだけれど……
それでも、シュタウフェンベルクほどではないものの、
ペルのことを大切な友人とは思っているし、ほどほどに面倒を見てやりたいと思っている。
とはいえ、だ。
「……これ、コイツが飽きるまで動けない、よな……」
ふと、西はそう呟いた。
気づいたこと。
それは現在の自分の状況だ。
ペルがこうして遊んでいる以上、自分は満足に動くことも出来ない。
部屋に戻ることも出掛けることもできないな、と思う訳で。
そうはいっても、楽しそうにしているペルの邪魔(?)をするのも気が引ける。
そう思いつつ、西は暫しペルをマントで遊ばせてやっていた。
***
それから、少しした頃。
任務を終えてシュタウフェンベルクとヘフテンが城に戻ってきた。
彼らはペルとの約束通り、食堂に向かう。
「え、っと……」
シュタウフェンベルクは食堂に入るとすぐにペルの姿を探した。
可愛らしい弟分。
その姿を探す彼を見て、ヘフテンは小さく笑う。
「ほんと、大佐はペルさん大好きですねぇ……」
お兄さんたちのことを言えないくらい。
そんなヘフテンの言葉に少し決まり悪そうな顔をしつつ、
シュタウフェンベルクは小さな黒髪の少年を探して……見つけた。
「……バロン西?」
シュタウフェンベルクは少し怪訝そうな顔をする。
ペルの姿がちらりと見えた気がした場所。
そこには、西の姿があって……
しかしペルの姿は見当たらない?
「気のせい、か……?」
シュタウフェンベルクがそう呟いた時、風もないのに西のマントが揺れた。
その様を見て、彼も、そしてヘフテンも状況を悟った。
小さく笑いつつ、西の方へいく。
近づいてくるシュタウフェンベルクたちを見つけた西は、
自分のマントのなかに入って遊んでいるペルに声をかけた。
「ほら、おまちかねの人たち帰ってきたぞ」
「シュタウフェンベルク!」
ペルは西のマントの影から出てくると、ぎゅっとシュタウフェンベルクに抱きついた。
「バロン西の、マント、暖かい」
「それでそこにいたのか」
じゃれついているのが遠くから見えた、といってシュタウフェンベルクは笑う。
ペルはこくりと頷くと、再び西のマントに隠れて遊び始める。
「助けてくれ、このままじゃ出歩けない」
そういって苦笑する西。
しかし彼はぺルを無理矢理はなそうとする感じはなくて、
シュタウフェンベルクとヘフテンは小さく笑う。
「穏やかでいいですねぇ……」
そういって笑う、ヘフテン。
シュタウフェンベルクもその言葉に微かに笑う。
可愛らしい弟分と友人のやり取り。
それを、大事な副官と見る穏やかな時間。
それは心地よく楽しい時間で……
「平和だな……」
ふとそんな言葉が出る。
ヘフテンはそんな彼の発言に小さく吹き出して、
"いきなりどうしたんですか大佐"と笑ったのだった。
―― Fun time ――
(暖かくて気持ちがいい、大事な友達の傍
穏やかな時間、一緒に過ごせて嬉しいよ)
(何が楽しいのやらさっぱりわからないが…
まぁ、当人も保護者も楽しそうだしいいか、なんて)