君の綺麗な指は時に花を愛し、時に煙草を煙らせる。
君の色の白さや瞳の色はみんなの憧れだった。
君はフランス人の父と、日本人の母を持つハーフ。
日本で生まれ育った君は生まれ落ちた時から羨ましがられる美貌を身に付けていた。
たくさんの人に愛の言葉を受けてきたけど、君はあまり世渡り上手ではないね。
憧れの数だけ嫉妬されて、たくさんの陰口を聞いてきた。
『ハーフなのにフランス語が喋れない』
君は悔しい思いをしてきた。
美しい君の心の中は、そうして憎悪が育っていったね。
君は美しいだけでは駄目なのだと気が付いた。
それから、悪いことに手を染めるようになる。
放課後は喫煙、飲酒、夜遊び三昧の10代。
それでも朝の日を浴びると君はまた美しい君に戻る。
美しい君は美しい自分に相応しい綺麗なことを忘れられずにいるから。
学校や家庭では明るい優等生を演じて、
夜になると心の中に育った憎悪の捌け口を求めて夜を彷徨う。
そうして心の均等を保ってる。
美しい人はその美しさの分残酷さを秘めていないとこの世界では生きてはいけないからね。