本部・グラウンド横のスペース――。

晴斗と御堂はSSUKEの縮小版のような、アスレチックのようなもので訓練中。パルクールの練習場にも見える。


「これ、難易度どうなってんだ!?キツいぞこれ」

あのストイックな御堂が音を上げている。晴斗は身体能力が高いのもあるが、ひょいひょいと壁を登り、障害物を越えていく。


「御堂さん、これめちゃくちゃ楽しい!パルクール始めようかな」

晴斗のやつ、覚醒しそうだな〜。お前の身体能力が高すぎるんだよ…。
あぁ、もう目をキラキラさせちゃってさぁ…。



都内某所・地下駐車場。

飛焔は釵游(さゆう)と共に地下駐車場にいる。今回は釵游と一緒に襲撃するパターン。


「話は聞いただろ、釵游。元老院からの命」
「『ゼルフェノアは潰せ』…だろ?わかってるよ」
「じゃあ早速いきますか…って、新しい監察官がいるねぇ」


2人は背後を見た。そこには黒いローブに仮面姿の「男性」が。


「初めまして。新たに監察官となりました、朔哉(さくや)と言います」
「今度は男かよ…」

飛焔、ちょっと残念そうな反応。
「監察官として幹部の方々を監視しますので、よろしくお願いします」
「人間風情が何言ってるんだか」

飛焔は完全に冷めきっていた。釵游は監察官なんていないように振る舞っている。
「飛焔、どこを襲撃するのー?」
「市街地を叩く」


飛焔は戦闘員を出現させ、地上へ送り込んだ。
「ゼルフェノアはどうするのかなー?」
「まずは戦闘員で様子見ってわけね」



本部では市街地にメギドが出たとアラートが鳴った。

グラウンドで訓練していた2人も向かうことに。組織車両内。

「なんかメギドと戦うの、久しぶりに感じる」
「晴斗、幹部もメギドだぞ?幹部以上は上級メギド。もしかしたら今回も幹部が噛んでるかもしれねぇな」


車内には時任もいる。

「幹部相手だとあたしらまだ勝てないっすよ!」
桐谷は時任をなだめる。
「まだ幹部に勝てなくても策はあるはずです。現地にいる隊員からの情報で、今現在は戦闘員だけだそうです。避難は進んでます」


「戦闘員だけ?」


晴斗と時任がハモった。戦闘員だけって意味がわからないぞ…。



某市街地。そこには予想外の数の戦闘員がいた。


「数多くない!?」
「晴斗、倒さねーと意味ねぇだろが!」
「そうだった!」

晴斗はいきなり肉弾戦で戦闘員と取っ組み合いを始めた。戦闘員には武器を持ってる者もいるため、武器を強奪して利用するプレーも。
御堂は得意の銃撃で戦闘員を確実に攻撃。時任はワイヤーで一気に倒してる。

桐谷はというと、対怪人用のライフルで遠方から狙い撃ち。スナイパーかっ!


この様子を飛焔と釵游は高みの見物をしていた。
「なかなかやるじゃん、あいつら。釵游、戦いたいか?」
「そうだね」

釵游は十文字槍を出現させる。
「俺の出番かなぁ」


釵游は怪人態になり、いきなり晴斗達に襲いかかる!

晴斗はとっさにブレードを抜き、釵游と小競り合いに。


「お前、一体何者なんだよ…!」

晴斗はブレードをギリギリさせている。
「飛焔と杞亜羅の仲間だと言ったら君はどうするのかな」
「幹部はもうひとりいたのかよ…」


この状況、マズイかもしれないな…。
晴斗は3人目の幹部と交戦中、桐谷と時任は多数の戦闘員と交戦中…。俺はあの幹部が気になるが、飛焔あたりがいそうな気がしてならない…。


釵游はジリジリと攻めていた。晴斗はブレードを発動させる。
「お前、名前なんていうんだよ!」
「釵游(さゆう)…これで満足かい?」

発動させてるのにあまり攻撃が効いてない!?
そこへ飛焔がとぼとぼとやってきた。
「宴の会場はここかな?」

飛焔は人間態のまま、右手から炎を出す。蒼い炎…!御堂は焦った。あの火は危険すぎる…!人間態でも出せるのか。


御堂は飛焔の攻撃を防ぐので精一杯。
「飛焔…てめぇ…」
「彼女は元気かな?あの仮面の女…『紀柳院鼎』と言ったかな。本名は『都筑悠真』だろ?」
「なんであいつの名前を知ってる!?」

「だって12年前…あいつらを襲撃したのは俺だからねぇ。あの時の高校生が生きてたのは想定外だったけどさぁ」


強さの差がありすぎる。晴斗と釵游は拮抗。互いに譲らない状況。時々激しい攻撃をしてる。
御堂は飛焔には負けたくないが、こんなにも差を見せつけられたら…。太刀打ち出来ねぇじゃねぇか…。



時任と桐谷は残りの戦闘員を全て倒していた。
幹部2人は鼎がいないことに気づく。

「今日は来てないのか、仮面の女…」
「あいにくあいつは来れねーんだわ。残念だったな」


御堂は一瞬の隙を突いて飛焔に強烈なパンチを喰らわせる。ただのパンチじゃない、銃ごと殴ったのだ。

銃ごと殴ったことにより、威力は増していた。飛焔は怯む。



その隙に撤収を試みた。晴斗はまだ交戦中。晴斗も思いきって蹴りを釵游に喰らわせる。
釵游は予想外の攻撃に隙を見せ、人間態に戻ってしまう。

晴斗は攻撃しようとしたが、御堂に気づいた。
「おら晴斗、撤収すんぞ!幹部はまた来る。一撃で倒せる敵じゃねぇから早く乗れっ!」


釵游も飛焔と共に撤収していた。
晴斗も車に乗り込む。



組織車両内。晴斗は釵游に手応えを感じていた。


「あの釵游とかいう幹部、冷めてる感じがした…」
「晴斗もそう思ったのか。俺も気になっていた。渋々戦っていた感じだったな」


御堂も気になっていたようだ。

「元老院で何か起きてるとか?敵幹部のイメージと違いすぎだもん、釵游ってやつ。飛焔と女幹部はいかにも『俺達敵幹部ですよ〜』な雰囲気出てるのに」


晴斗の呟きに時任も乗る。

「悪の組織のイメージとはなんか違うんだよな〜。あの幹部。黒幕が気になる…」
「黒幕って、元老院の元締めのことじゃねぇか。長官と因縁あるらしいぞ」


「ちょ!?ちょちょちょちょ長官と元老院の黒幕って因縁あるの!?」
時任、パニクる。
「長官が義手になったきっかけが、元老院の黒幕らしいからな。それはそれは激しいバトルだったらしいぞ、噂では」


どんな戦いだったんだろう?蔦沼長官と元老院元締めの戦いって。

今でも語り草になっているということは、相当凄かったのかなぁ…。