話題:今日見た夢
なんだか所々ぼやーっとした感じだった。京都のどこかが出てた。実在しない街っぽかったけど。


本部vs支部の交流戦、この日は休養日なのでエントリー隊員は自由に過ごしてもいいことになっている。
鼎と彩音は私服姿でどこかへ出かける模様。

鼎のことが気になってるのは支部の日向(ひなた)。もう少し距離を縮めたいけど、前日やらかしたので微妙な感じ。
日向は物陰から2人を見てた。どこに行くんだろう?…って私はストーカーか!?あぁ何やってるんだ。


普段の鼎は穏やかだ。仮面姿なのにどこか優しく見える。

「鼎、どこに行くの?」
「支部から距離は離れているが、室長から九十九(つくも)家に行けと言われてね。私じゃないとダメらしい。ちょっとした任務だよ」
「九十九家…?どこかで聞いたことあるなぁ…。なんだっけ」
彩音は必死に思い出そうとしてる。

「古来より化け物退治をしている退魔師の家系だ。どうやらその倒している化け物が私達が倒している怪人と一致したんだよ。そこで戦力に九十九家に協力を仰ぎたいそうだ」
「ねぇ…鼎…。九十九家って確か…何か変わった掟に従ってるとか聞いたような…。大丈夫なの、それ」

鼎は立ち止まる。
「私はどうやらその『九十九家の掟』の条件に合致したらしくて任務に抜擢された。掟はどのようなものかはわからない。だから彩音に付き合ってもらうことにした」
「私は付き添いなんだね」

彩音は鼎を見ている。九十九家の掟って仮面と関係してそう…。


日向はこそこそと尾行。あれ、この方向って…。あの退魔師の九十九家じゃないか。確かそうだったはず。えっ!?なんで紀柳院さんが!?司令に何か頼まれたのかなぁ…。


鼎は尾行している日向に気づいてる。
「おい、隠れてないで出てこい。気配がバレバレだぞ、日向」
日向はびくびくしながら出てきた。

「お前…支部からずっと尾行してたのか」
「私…紀柳院さんのことが気になってて。…はい」
「私達は任務で行ってるからお前は近くにいろ。九十九家に用があるんだよ」

日向は遠慮がちに言う。
「紀柳院さん、気をつけた方が…」


鼎と彩音、少し距離をおいて日向という変な編成になった。

しばらくして鼎は突如、待ち伏せていた男性3人組に絡まれた。
1人の男性が何やら薬品を染み込ませた布を鼎の仮面の鼻〜口元に近づけ、嗅がせている。鼎の意識が途絶えた。鼎は気を失った。


気がついた時には鼎は街中の廃倉庫にいた。手首を縛られている。
男性3人組の1人はどこかへ連絡している様子。
「はい…九十九家の長女を拉致しました。九十九蒼月(そうげつ)です。間違いありません」


九十九蒼月…?私は九十九家の長女と人違いで拉致られたのか…。


男性3人組のうちのもう1人が鼎を見て気づく。
「おい!この女、蒼月じゃないぞ」
「でもその仮面、蒼月のじゃ…」
「よく見てみろ。仮面が白い。蒼月の仮面は色があるかわからないくらいの淡い水色をしている。誰だよ間違ったやつは!マズイことになったぞ…」
鼎はなんとなく男性3人組を見ていた。どういうことだ…?

「人違いでも人質だ。誰かしらは来るだろう。九十九蒼月を探せ!」


「鼎が拉致られた!?今GPSで居場所を探るからお前らも鼎を探してくれ。…九十九蒼月と間違って相手は拉致したかもな…」

宇崎は慌てながら隊員達に伝えた。彩音は冷静に聞いてる。
「室長、鼎とその九十九蒼月さんって似てるんですか?」
「見た目がそっくりなんだよ。仮面という共通点もあるが、蒼月は九十九家の掟に従って仮面を着けている。蒼月は…強力な退魔師故に狙われてる。彼女の保護も兼ねて組織では九十九家の協力を仰ぐつもりだったんだ」
「九十九家の掟って…仮面…?」
「詳しくは九十九家の当主にでも聞けばいい。とにかく鼎を救い出せ。さっき連絡が入ったが、蒼月は無事だ」


晴斗と囃は廃倉庫にいる鼎を発見。男性3人組は既に逃走。
「鼎さん!大丈夫!?」
晴斗は縛られた縄を切る。

「あぁ…大丈夫だ」
「紀柳院…災難だったな。よりによって九十九家の長女と間違われて拉致られるなんてよ」
「囃と言ったな。九十九家の情報を何か教えてくれ。支部の隊員はある程度知ってると聞いたから」
「おそらく紀柳院を拉致した連中の狙いは九十九蒼月だ。九十九家の長女だよ。年齢も紀柳院と同年代、特徴も似ている…というか…。あっちは九十九家の掟で蒼月は仮面を着けているからな。人前では仮面姿だぞ」

掟は仮面なのか…?ますます謎が深まる九十九家の存在。


囃は宇崎や彩音達に鼎を救出したと連絡した。
「囃っ!鼎を拉致った連中は!?」
「もぬけの殻でしたよ」
「鼎は無事なんだな。良かった…」


落ち着いてから鼎と彩音は九十九家へ。家が…デカイ…。旧家というだけあってか、敷地も広い。使用人らしき人もいる。


鼎は全てを話した。自分が蒼月と間違われて拉致されたことも。九十九家当主は女性だった。当主の名は九十九飛燕(ひえん)。
鼎はあることに気づく。九十九家の当主以外の女性は全員、顔を隠している。当主の女性は蒼月の母親みたいだが…。


やがて当主に呼ばれて蒼月が姿を現した。蒼月は次期当主。袴姿に色があるかわからないくらいの、淡い水色の仮面を着けた女性がいる。ベネチアンマスクのようだ。
「あなたがゼルフェノアの紀柳院鼎さんですね。人違いで拉致されたと聞き、申し訳ない…」
蒼月は謝る。

「いや…いいんだ。それにしてもなぜ、九十九家は当主以外の女性は全員顔を隠しているんだ…。蒼月の妹は高校生と聞いたが、まさか彼女も」
「はい。彼女も仮面を着けていますよ。掟は絶対なので。人前でこの仮面は外すことは絶対にありません」


仮面の掟か…。


九十九家はなんらかの事件をきっかけにしてある年齢に達すると、当主以外の女性は仮面や面を着けるようになったという。
それは九十九家の女性退魔師を守るためのものだった。
古来より続く退魔師の家系だ、何かあったんだろうな。


「ゼルフェノアの協力を仰ぐ話は既に聞いてます。協力しましょう」
蒼月は協力的。

「私達が倒しているモノとゼルフェノアが倒しているモノが同じというのは興味深いですね…。化け物が怪人だとは…」
蒼月は庭園を眺めている。仮面姿なのにどこか眼差しは優しい。
この人…雰囲気が鼎に似ている。どんな素顔なんだろう。


彩音は蒼月になんとなく小声で聞いてみた。ちなみに当主は既に部屋にはいない。

「蒼月さん、掟の詳細…教えてくれませんか?なんで九十九家の女性は仮面の掟があるのか気になってて」

「いいでしょう。九十九家の女性は16歳になると仮面や面を着けます。これは身を守るため。この掟はある条件を満たさないと解除されないのです」
「条件…?」
「詳しくは話せませんが、私達は少なくとも3年以上はこの姿で過ごします。人前では仮面は絶対に外せませんからね」

掟に翻弄されているんだ、この人達は。掟をなくそうとしたが、無理だったんだなというのはわかる。


鼎は蒼月の隣に立つ。

「紀柳院さんと私、似てますね。これだと間違われても仕方ないです」
背格好や髪型まで似ている…。身長も同じくらいだ。
「蒼月…私は人違いで拉致られたんだ。仕方ないで片付けるな」
鼎ははっきり言う。

「紀柳院さんの仮面は違う理由なんですよね。顔の大火傷の跡を隠すためだと聞きました」
「あぁ…そうだ。これなしでは外出もままならない。お前達は素顔を見せたいとか思わないのか?」
「この生活に慣れてしまいましたから…。高校時代は辛かったですけどね。奇異な目で見られましたから。事情を話したらなんとか受け入れて貰えました」
「掟の弊害か…」


しばらくすると誰かが帰ってきたようだ。蒼月の妹・桜月(おうげつ)だ。
桜月は高校生。高校の制服姿に仮面という、異質な組み合わせだが本人は慣れている。
桜月の仮面は淡い桜色のベネチアンマスクをしていた。名前通りの桜色。

「お姉ちゃん帰ったよ〜。あれ、お客様!?…この人、ゼルフェノアの紀柳院さんじゃん!なんで来てるの!?」
仮面姿だが中身はバリバリの高校生なのがわかる。なんだかテンション高い。仮面の口元に両手を当てているあたり、相当嬉しいのか!?


「桜月おかえり。今、ゼルフェノアの人達と話してたんだ。紀柳院さん達が私達に協力してくれないかって」
「もちろん協力するよ。私も退魔師だよ。お姉ちゃんには敵わないけどさー」


桜月は台所に行き、すたすた冷蔵庫から飲み物を取ると自室へと消えた。
桜月の仮面は口元にストローが入るくらいの僅かな隙間があるらしく、飲み物を器用にストローで飲んでいる。
びっくりするくらいに違和感がない。慣れてるんだ…。


「ごめんね。桜月はあんな感じなんです。いっつもテンション高くて。おかげで友達けっこういるみたい」
「いや…めちゃめちゃ元気じゃないですか〜。素顔が気になるよ…」
彩音がポロっと漏らす。

「素顔は見せられないんです…本当にごめんなさい。家族ですら私達は食事をする部屋が別なんですよ。仮面を外すから」
「厳しい掟に縛られてるのも大変なんだね…」

彩音は少し引いている。


鼎達は支部に戻った。鼎達は九十九家の仮面の掟のさらに詳しい詳細を知ることになる。
だから蒼月と桜月は仮面を着けていたのかと…。当主の飛燕はやはり母親。


・人前では仮面を決して外してはならない。いかなる時でも人前では素顔は厳禁。
・アクシデントで素顔が露になった場合、即座に隠すべし。
・戦闘中に素顔が露になった場合、その相手を倒さなければならない。


九十九家の仮面は段階があるらしく、高校生の桜月は呼吸しやすいように呼吸吼が2つになっている。
蒼月の仮面は鼎と同じように呼吸吼が1つしかないタイプ。
2人の仮面は目元が鼎の仮面同様レンズで覆われているため、表情が一切わからない。仮面の角度と陰影で表情がわかるような感じ。


九十九家。蒼月は縁側で月を眺めていた。
蒼月の隣には桜月。2人は器用に仮面をずらしながら飲み物を飲んでいる。


「お姉ちゃん、私達…ずっとこの姿のままなのかなぁ…。理想の高校生活じゃないよ、こんなの」
桜月は愚痴っている。
「仮面を外せる条件…厳しいからね。私だってかれこれ10年以上この姿だよ」

「お姉ちゃんは次期当主じゃんか」
「でもまだまだ先だよ。仮面を本当に外せるのは…」


「紀柳院さん、仮面生活長いんだよね…。あの人すごいと思う」
「鼎さんは…すごくないよ…。事件に巻き込まれて仮面生活にならざるを得ない状態になってしまったんだから。鼎さん、どこか背中が寂しそうだった」
「孤独感なのかもね。私達もそうじゃんか。自分達だけ異質な姿でさ…。この仮面…いつになったら外せるんだろう」


桜月の何気ない言葉に蒼月は複雑そう。父親の空也(くうや)は物陰から姉妹を見ていた。
掟は簡単には変えられないんだ。ごめんよと。


この九十九家もとい、九十九姉妹の協力がどのように組織に影響をもたらすのか?蒼月は何者かに狙われているらしいが。



いきなり出てきた京都にある退魔師家系の九十九家。九十九家の蒼月・桜月姉妹がゼルフェノアに協力することになるが、どうなるか?

まさかの退魔師が倒していたモノとゼルフェノアが倒していたモノが一致。


九十九家の仮面の掟…何かありそうだ。昔何かあったらしくて、女性退魔師を守るために始めたみたいだが。なぜに仮面や面で隠さなければならない?

しかも鼎さんは蒼月に間違われて拉致られるとかな…。日向は結局何も出来ずに終わってる。
京都に関しては支部の隊員の方が詳しい。西日本の管轄が支部だから、まぁ…。