スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

1

外を彩るライトアップの光がチカチカとクリスマスを知らせてくれる。
普段は楽しみにもしない、普通の日常で終わるクリスマスが、今年だけは特別に思えた。
好きなひとと合える喜びに、クローゼットの前にかけたワンピースをちらりとみた。
今日のために選んだワンピースは、花柄の可愛らしいデザイン。
いつもは気にしない服装も、今日だけは格別に気をつかった。
ぴぴぴ、とけたたましく鳴り響いた携帯電話を手にとり、ウィンドウに見えた名前に笑みを隠せずに通話ボタンを押した。

「ろい?」

「あー…」

どこかいいづらそうに話を進めない電話口の相手に、どうしたの、と先を促した。

「すまない、仕事が忙しくて」

「あ、…そっか。がんばって、」

「大丈夫かい?」

大丈夫の言葉の意味が、分からなかった。
大丈夫じゃないなんて、言えるはずもないのに。

「あ、ごめん、形態の充電が!またね、お仕事、がんばって」

「エド…!」

じゃあ、の言葉が聞きたくなくて、ロイが何かいっていたのにも関わらずそのまま終話ボタンを押した。
電源が切れたかのように電源を落として、ワンピースをクローゼットへ乱暴にしまって、そのままベッドへとなだれ込んだ。
目の前に見えるチカチカのイルミネーションが妬ましい。

<<prev next>>