すっかり遅くなってしまった。彼女の乗るバスは残っているだろうか。
バス停が見えると、彼女は「見てくる」と言ってかけていった。
僕がちょうど追いついたところで、彼女は僕の方に向いた。
「42分だって。よかった、残ってた」
「よかったね、今度遊ぶときは時間を確認するようにしなきゃね」
僕は彼女の頭をやや強めに撫でる。
も、もう、子供扱いするなー」
彼女はそう言って、同じように僕の頭を撫でる。
同時にお互いの頭を撫で合う様子は、傍から見たら奇妙な光景だろうか。
しばらく撫でながら、僕は少しずつ少しずつ距離を狭める。
撫でることに飽きてきて彼女が僕の頭から手を下ろしたのを見計らって、僕は彼女を引き寄せ軽く抱きしめる。
今度は優しく撫でながら、耳元で彼女にも聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟く。
「大丈夫、怖くないよ。まだまだ負けない、負けられない。もっと頑張れるはず。精一杯のことを、全力で」
彼女から離れると、彼女は僕の突然の行動に対してや発言の意味がわからず困惑しているようだった。

そうこうしている間に、バスがやってきた。彼女と別れる時間もそろそろだ。
「じゃあねくーちゃん。気をつけて帰るんだよ」
「…う、うん、ゆうもね」
最後にハイタッチをして、彼女はバスに乗り込んだ。
窓越しに手を振ってくる。僕も手を振り返して見送った。

バスが見えなくなってから、僕は歩きだす。
歩きながら、今彼女を初めて抱きしめたことを思い返す。
まだ余韻が残っている。
女の子特有の柔らかさ、甘い香り、





…飽きた←
表現力なんてなかった