嘘つきおとことだめおんな

他の女にかけるような、優しいことばを、うそつきおとこはだめおんなに投げ掛ける。
だめおんなは信用できず、ピルの副作用で嘔吐。
眠れないのはデフォルトで、夢の中でいろんなひとに見はなされる。

うそつきおとこは薬物依存で、薬と自分の快楽こそが人生って感じ。
だめおんなは、頭が痛い。

また隠し事を見つけて傷ついて、うそつきおとこの保身のための攻撃に傷ついた。
元彼女との思い出を大事にしたけりゃ、働いてだめおんなに貢がせないでってドライになりたい。
そんなドライな問題じゃない。感情の問題。
信用して裏切られて剥離してまたありえないような吸着力で寄り添う。
だめな人生にお似合いの、だめな恋愛で、だめおんなは眠れない。
かわいくて、薬物依存の恋人の粗相に頭を下げてまわる、よくできた彼女ですね、ってうそつきおとこの親やケースワーカーや主治医にほめられるたびに、よくできてないおんなだから誰か気付いて愚痴きいたりしてくれないかなあ、とか甘えたことを考えてる。
こうやっていろいろここで愚痴って、捌け口つくってんじゃん充分じゃん、つって、表のだめおんなが言うから、心のだめおんなはぐっと堪えて、また頭を下げたり、仕事をしたりする。
だめおんなの生きてる意味はうそつきおとこだけど、うそつきおとこの生きる意味は違う。うそつきおとこ自身がそう言ってる。
一生片思い。

アセトアルデヒドがまるで仕事をしてくれない。
アルコールと対峙するのが使命だろ、え、ちがうの

うそつきおとこはラボナと赤玉のOD、いびきかいて眠る
放置して実家に帰り眠るだめおんなは極悪人です

うそつきおとこは、浮気事件以来、うそをついているそぶりをみせない。
あいかわらず、無職だし、スロットやるし、煙草もすうし、ODやらかしそうになるけど。
だめおんなはうそつきおとこのスロットのコインがなくなるのを待ってる。
トイレで吐いた。
味方しかいない部屋にいきたい、したら、ひとりになるんだろーな。

思い出したり、浮かんだり、嫌な記憶は突然浮かび上がる泡のようですね。

うそつきおとこは今日とてもやさしく、それすら何かの予兆のようで、だめおんなはびくびくとするのでした。

なにかにつけて、涙ぐむようなだめおんなは、新しいアイライン、新しい下着、フェイスマスクを購入。

なにかにつけて、涙ぐむおんなをつれてあるくおとこの気持ちを、いつか理解できるでしょうか。

夜は、はやくねむります。
明日もおしごとはあるでしょうから。