話題:SS
旧ブログより。
2012.8.11のもの。
タイトルから想像されるものを全然裏切らない内容w
R指定まではいかないけど…少し大人チックな感じになりました。
続きよりどうぞ〜。
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馴れ初めは同窓会です”
なんて、小説やドラマの中だけで
起こるものだと思っていたのに。
暇潰しに参加した中学校の同窓会で、
当時そんなに仲が良くはなかったキミと
意気投合したのは良いのだけれど。
なぜ当たり前のようにホテルに足を踏み入れてしまったのか。
正直、自分でもよく分からない。
酔った勢い、と誤魔化そうにも
俺は生来下戸で、乾杯のビールに
ほんのひと口付き合うだけだ。
幸いにも、互いに独身だったから
不倫に手を染めた訳ではないけれど。
今まで一夜限りの関係とか、
身体の関係から始まる恋とか、
そういったモノに全く無縁の俺が。
「どうしてこんなことになったんだろう?」
「え?」
「そう思ってんのかな?って」
「まぁ…正直に言うと」
「確かに、こういうことしそうなタイプじゃないわよね?」
「…俺も自分でそう思うよ。でも、」
「ん?」
隣で横たわる、キミの肩を抱き寄せて。
「後悔は、ないけど?」
「それは良かった」
ふふ、と含み笑いをしたキミは、
自分の身体に巻きついた俺の腕に指先を滑らせる。
「10年越しの、思いが叶った」
「えっ?」
「私が好きだったの、知らなかったでしょ」
「………し、らなかった」
「あははは!ビックリしすぎよ」
「いや、だって…」
こういうカミングアウトは、過去形で話すものじゃないか。
しかも、卒業してからちょうど10年経った今になって…
「迷惑なら、ここで連絡先も交わさず別れましょ?」
「ちょ、っと。待ってくれ」
起き上がろうとするキミを、俺は慌てて引き止める。
「んー?」
「そ、それで。イイのかよ」
10年越しって言ったくせに。
身体だけの関係で、満足できるのかよ。
「やぁね。だって私、あなたのことが好きなのよ」
「…うん?」
「好きな人の、負担にはなりたくないじゃないの」
「あぁ…」
そこで、俺は初めて気付かされる。
彼女は。
本当に10年前から。
俺のことが好きだったのだと。
「迷惑は、かけない。だから」
「何言ってんだよ!」
「だって、」
「好きだよ。俺も」
「ウソ。そんなうわべだけの言葉が通用するとでも思ってるの」
まぁ。
今日キミに逢うまで恋心が無かったのは事実だけど。
「ごめん、じゃあ言い方変えるよ。付き合わないか?俺たち」
「…本当、に?」
「本当だ」
「どうして?まさか、その。かっ、カラダ…」
「キミとの相性が良かったから、手放すのは惜しいと思ったんじゃないかって?」
「え、あ………うん」
頬を赤らめて、恥ずかしそうに俯くキミの髪をくしゃくしゃと乱して。
「そうじゃない。会話してても楽しかったし…ちょっとさ、始めてみたくなったんだ」
「何を?あ。…付き合いを?」
「そう。キミと恋がしたくなった」
「…意外とキザなのね?」
「ずっと好きだったのに知らなかったんだ?」
「そんなこと…知る訳ないじゃない」
ふふ…と楽しそうに笑うキミの笑顔が可愛くて。
「どうする?」
「あっ…よろしくお願いします」
キミは慌てて下着姿のまま正座をして。
俺に深々と頭を下げる。
そんな姿も、何だか可愛い。
「こちらこそ、よろしく」
ちょっとワザとらしいけど。
握手を求めるように右手を差し出して、
キミが応えるように握り返したその瞬間。
「きゃあっ!」
グイッと腕を引いて。
腕の中へと閉じ込めてみる。
「こういうのも、キザかな?」
「そう…ね。でも」
腕の中のキミが、顔を上げて俺を見つめる。
「嫌いじゃない」
その瞳がやけに艶っぽくて。
ドキドキしながらも、顔を近付けて。
おでこに、
まぶたに、
頬に、
鼻に、
そして唇に。
キスを落として。
キミの身体を抱きしめたまま。
再びベッドに横たえる。
そして俺たちは。
これから。
同級生の一夜限りの遊びではなく。
恋人たちの甘い夜へと。
導かれていくんだ。
-END-
(ん…やっぱり、R指定入っちゃいましたかね…?)
2013-6-6 14:47