*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
一番最初なので、
話題:創作小説使わせて頂きます!
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.1:『2度目の出世』
6月------------晴天の朝、警察署の署長室でいつもとは打って代わり正装の刑事・水嶋律は上司の石塚も見守るなか、署長と対していた。
すると、真顔の署長が水嶋に言ってきた。
署長:「…これは、極めて稀のケースだ。
しかも君に至っては、"2度目"…」
水嶋:「はい」
署長はそう言うと、その両手に大事に警察手帳を持って水嶋にこう告げた。
署長:「警察署、刑事課所属の水嶋律。
本日を持って階級を、警部補から警部に昇進をここに承認することを宣言します。
…今後も君の活躍を大いに期待しているぞ、水嶋警部!」
署長はそう言って、水嶋に新しい警察手帳を手渡そうとする。
水嶋は一礼をしてから、手帳を両手で受け取った。
水嶋:「ありがとうございます。
警部として、今後もお国のために人事を尽くし、国民のために命を捧げ、任を全う致します!」
水嶋は警察手帳を胸に押し合てながら、もう片方の手で敬礼をすると、石塚や課長クラスの代表や、警察庁と警視庁の代表が拍手をして、水嶋の警部昇進を祝った。
水嶋は未だに未婚の身でありながら、前回に引き続き2度目の異例出世を果たした。
何でも警視庁の局長が、それまでの水嶋の槐事件に対する熱意を評価してくれたのだとか。
水嶋:(別に、完全解決したわけじゃねぇのに…)
第6の槐、六条薫と言う真犯人を未だに野放しにしている。
槐事件の捜査本部に復帰することが出来るのだから、真っ先に石塚たちに薫との一件を報告しなければならない。
だが、きっとすぐに行動は出来ないだろう。
水嶋:(薫くんが犯人だと裏付けるために、現場を再捜査しなきゃならん…)
特に、六角恵梨香と対した警察病院の一般病棟屋上はいちばん調べる必要がある。
あの日、自分たちが現場に辿り着いた時、薫の杖は2人がいた絶壁からだいぶズレた位置に転がっていた。
揉み合いになって手から放してしまったにしても、六角恵梨香が杖を投げたのだとしても疑問点がある。
そもそも、仮にでも命の危機に合っている薫がそう簡単に杖を手放すのか。
利き手に防犯用の棒をしっかりと握っていた六角恵梨香が左手で薫の杖を奪って、あんな遠い位置に投げたと考えるのもおかしい。
水嶋:(それに、視覚障害者の薫くんは、病院側の人間に見付からずにどうやって屋上まで来た?)
エレベーターは"故障中"の貼り紙があったから使えない。
階段は薫には辛い思い出もあるし、手すりすらなかった。
だとしたら、方法は一つ。
鳥の仮面の男が、気絶させた薫を屋上に放置してわざと杖を別の場所に------------だが、杖の一件だけは使えない推測だ。
なぜなら、薫の杖には新しく付いたと思われる傷があったから。
水嶋:(今すぐにでも薫くんに突き止めたい)
あの子にはまだ心があった。
それは絶対に嘘ではなかったと、水嶋は信じたい。
だから今日もこの後、会いに行こうと思っていたが、そう思っていた矢先、とある報告を受けた。
水嶋:(第3の槐、三条一貴が目覚めた…)
まだ面会していないから実感も何もないが、まさかこのタイミングで目を覚ますだなんて…。
しかも、一貴は槐事件の記憶はほとんど覚えていたが、肝心のことが2つ抜け落ちていた。
それはラストターゲットだった実母はもう死亡していると思い込んでいるのと、狐の仮面の女こと、埼周平の記憶がなかったこと。
水嶋:(…どうやら、俺にはもう薫くんに近付けさせないつもりなんだろう)
これもアートロや、"ご主人様"の策略という奴なのかと考えながら、水嶋は新たに警察手帳を受け取ってから、槐事件の捜査を理由に石塚と署長室を退室した。
槐事件捜査本部の会議室へ向かっているなか、石塚が急に笑いながら言ってきた。
石塚:「お疲れ様。
首、苦しかったら緩めても大丈夫だぞ」
水嶋:「おう…」
普段は…と言うより、交番勤務の時以来に着用した制服のネクタイを、水嶋は緩める。
お偉いさん方の中からようやく解放されて、水嶋はちょっと肩の荷が降りた。
水嶋:「これで。俺はお前と同じ警部だぞ?
今までより我が儘になるかもな」
石塚:「それは、困ったな…。
俺は一応、指揮官だから言うことは聞いてほしいんだが?」
そう言いながらニヤニヤと笑い合う親父2人を会議室の出入り口付近から見た高柳と姫井たちはちょっと困ってしまう。
何か楽しいことでもあったのかなぁ、と。
透真:「まぁ、律の方はまさかの異例出世だからな〜。笑いも出るだろうよ」
あぁ、悔しい…とか言いながら笑って会議室の中へ入る沢田透真を見送った後で会議室の出入り口に立った石塚が声を掛ける。
石塚:「皆さん、注目!
本日から槐事件捜査本部に復帰することになった、水嶋律警部だ。よろしく頼むぞ!」
水嶋:「どうぞ、よろしく〜」
水嶋が挨拶をすると、同じ刑事課の人間や白波たち警察庁の刑事たちも拍手で迎え入れてくれる。
水嶋の出世は本人がいちばん驚いただろうけど、周りの人間たちにも衝撃のようなものを与えた。
高柳:「水嶋先輩の異例出世って、これが初めてじゃないんですもんね。」
姫井:「えぇ。確か、17年前の廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件の捜査で、一人で大活躍したとかで警部補になったって、鑑識課のオジサンが言ってたわ…」
姫井がそう小声で話した後、さりげなく高柳の隣に立った白波がこう言った。
白波:「"直感力の水嶋"とか"不死身の水嶋"とか呼ばれたのもその頃かららしいですよ」
高柳:「"不死身の水嶋"って…」
以前、水嶋宅で目にした水嶋の身体の銃弾の痕を思い出し、高柳は震え上がる。
あの痛々しい傷痕は、その廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件が原因なのか。
高柳:「なぜ、拳銃が…」
白波:「分かりません。
詳しいことは資料を拝見してからになりますが、私の推測では犯人も拳銃を所持していたとしか…」
水嶋が奪われたなら出世は有り得ないし、と白波は言ってから高柳と姫井を見て言う。
白波:「とりあえず、席に座りませんか。
会議を始めるそうなので、翔太さん」
高柳:「あ、はい」
姫井:(私はスルーか?)
ちょっと虚しいが、別に構わない。
姫井はさっさと水嶋の近くの椅子に座った。
高柳と白波も水嶋の後ろの椅子に腰掛け、周りが静かになると指揮官の石塚が声を掛ける。
石塚:「それでは、これまでに分かった第6の槐事件を含めた捜査結果をそれぞれ、どうぞ。」
そう言うと、真っ先に手を挙げたのは今さっき復帰したばかりの水嶋だった。
水嶋は椅子から立ち上がると、こう言ってきた。
水嶋:「今回の第6の槐事件……槐は、六角恵梨香じゃない。
嵌められたんだ、新の第6の槐に…」
ざわっ…
水嶋:「それに、気掛かりなのは第6の槐事件のラストターゲットの殺害現場に選ばれた場所。
そして、六条薫の杖が転がっていた位置。
俺はこう思うんだ---------…」
水嶋の言葉で議論を唱える周囲をよそに、水嶋はさらにこう言葉を続けた。
水嶋:「----------鳥の仮面の男の勤務先が、警察病院ではないかと言う可能性だ。」
水嶋のこの発言で、周りは一気に沈黙した。
------------To be Continued...