見渡す限り背丈の低い草が生え、風に吹かれた姿は青々とした海原の波のよう。
 大草海を超えて来た風はさわさわと、心地好く我が耳を頬をと撫ぜて行く。
 立夏の頃の空を見上げれば、よく肥えた雲が元気良く流れ去る。
 草原に寝転んだ旅人はぼんやり空を眺めた。

 遠き彼方ではこの天を、剣劇や陣太鼓の音が突き、赤き炎が嘗めている。
 それが嘘のようにこの辺りは静かだ。
 全てを忘れ、この海原に消えてしまいたいと思う事がある。
 この心地好い風がそう思わせるのか、この心地好い草の囁きがそう思わせるのか。
 旅人は瞳を閉じ、深く呼吸した。



――――――
とりあえず、草原が書きたかっただけ。
左右見渡す限りの草原と、真っ直ぐ前へ伸びる街道。そこに吹く風……。
何か爽やかな風景が浮かんだ。

話題:SS
……。
ショートストーリーって程じゃないね(^^;)