赤い一つ目 視えるもの
ショックウェーブさんの視える話
※TFに幽霊見える設定がお嫌いな人は回れ右することをおすすめしますん。
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二次創作ブログサイト。気ままに更新なう。
「そもそも何故科学者である私が非科学的な事柄に興味を示したか、だな。
私がサンダークラッカーと共に地球へ訪れた頃だ。
その時の私は、地球という惑星で潜伏活動するためにはこのヒューマンモードが不可欠だ、と考え非正規のルートでシステムを入手していた。もちろんラチェットやドクタースカルペルなどの専門家無しに導入したからな、安定した起動など到底不可能で、常に感度が高く精神回路に相当な負荷がかかっていた。若い部下に発狂した奴がいたな……確か、別の惑星へ逃げたと聞いた。回路が焼き切れたみたいだったが、ちゃんと生存しているだろうか? 結局平気な顔をしていたのはサンダークラッカーくらいのものか……。
私か? 私は……痛みくらいなら我慢すれば良い話だからな、それまでなんだが。私の場合はその痛みの他に、何かが変だった。ヒューマンモードで行動している時のみ、アイセンサーがおかしな事になっていたんだ。
私にはこの通り、片目しかない。もう片方をどうしたかは、また今度語ろうか。ヒューマンモードで行動するのが慣れてきた頃、視界に不思議なものが映るようになった。人間のような形だったり、霧のようなものだったり……センサーが反応しない、生命活動をしていない不可解な何かだな。センサーが機能しない非科学的な何かが私のアイセンサーに映っている。そばにいたサンダークラッカーに質問したこともあったが、彼には目視出来ていないようだった……久しぶりだったな、恐ろしいものに在った気がしたのは。それが私には理解できない何かだと考えると、奇妙な感覚が背中を走った。人間的に言うと、悪寒が走る、とかいったかな。それだと思う。
それらはヒューマンモードになる度に視界に現れ、消えていった。ただただ佇むのもいれば、ずっと彷徨うのもいた。こちらがじっと見れば、視線に気づいて近寄って来るのも……そういう奴に限って、しつこいものなんだな。ずっと後をついてきて話しかけてくる。日本で言えば……憑く、という現象か。休む間もなくついてくるものだから辟易したよ。それもそうだな、身体を無くした奴らには休みなんて必要ない。分かりにくい? そうだな……金属生命体でいうと、スパークのみ……機体無しで、存在している形だ。有り得ない? 確かに非科学的だが、前例がない訳ではないだろう。トランスフォーマーは何千万年と存在してるんだ、1回や2回……随分昔セイバートロンの中央資料庫に、そんな資料があったと思ったが。
私のような科学者は、非科学的な事はまず調べられるだけ調べ検証に検証を重ね、実験などをする。科学的に考え正体を突き止めようとするが、私にとってあれらはどうしても説明の出来ないものだった。我々金属生命体では到底理解できない、有機生命体である人間の概念が生み出した怪物のように思えたものだ。そしてまた人間達が恐れるのも、あれらが理解できないものだからだと知った。私の科学力でも証明出来ないあれらを見、聞き、話す人間がいると聞いた時は悔しかった。人間に劣っているような気分だった……何の役に立つか全く分からなかったが、私はその人間のもとを訪れ様々な事を聞き出したんだ。そして教わった。見えざるものを見る力を与えられていた事には驚いたが、それを活用する方法があったのは好都合だったな。ヒューマンモードで暮らす以上、あれらは必ず寄って来るだろう、そのせいでメガトロン様に危害が加えられてはならない。そう考えた末の行動だった。現にフーバーダムにはうようよいたからな。
まぁ、こんなところか。」
「それだけか」
「それだけとは酷いな。メガトロン様の為だ」
「それ以外にも理由はあったんじゃないのか」
「それ以外……ふむ」
「例えば、怖かったからとか」
「恐怖は感じたさ、だがよく考えてみろ。死んでしまった者に会えるんだぞ。それが仲間だったら嬉しい事ではないのか? もう一度話したい事とかあるだろう。そういう点では、私は人間が羨ましく思う。例えお前が死んでしまっても、もう一度会える可能性が出てくるからな……なんだ、私だって死んだ者に会いたい事だってあるさ」
「そうか」
「そうだ。まぁ、そう思うのは同胞だけだからな。人間には何の感情も持たないが」
にこりと笑ってそう言った彼の視線は、気が付くと自分からそっと逸れていった。有機生命体の“幽霊”だか何だか知らないが金属生命体である自分たちに、それに対処する術も必要はない……そもそも怖がる必要もないと思うのだが。そう言っても彼はただ笑うだけで、その逸らされた目線の先にはいつだって誰も、何もいないのだ。
幽霊が視えるショックウェーブさん
視える、感じる、触れずに祓えるチート。日夜邪魔をしてくる幽霊を千切っては投げ千切っては投げ……。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 6月10日 |
系 統 | 普通系 |