似非関西弁注意!
さよなら、流れ星。
「おれ、東京いくことになってん。」
それはあまりに唐突な言葉だった。
卒業式まで残りあとカウントダウン7日の昼休み
いつものようにテニス部全員でごはんをたべて、いつものように馬鹿しながらはなしをしていたそのとき。
あ、おれ、皆にはなすことあったんや、なんて まるでいまからちょお走りにいってくるわみたいに簡単にアイツは言った。
「東京、?」
「ん、せや。やっぱりなあ、俺のいえって病院やんか。だからあっちの医学専門の高校いこうおもってんねん。」
テニスも、ここまでやなあ。
あまりの彼の告白にだれも、なにもついていけない。
医学専門の高校? テニスも、ここまで?
ここまでって、
「どういうことや、謙也、、」
自分でもびっくりするくらいの低い声。けど謙也はびっくりするくらいか、冷静に「話したまんまのことや、おれは、テニスは、」
「テニスは、もう、やらん。」
「謙也さん、あんた、」
「謙也くん、どないして、、」
光と小春が呆然と言葉を呟いた
けど、謙也はそれには答えずただ、「堪忍なあ、」と苦笑いを浮かべるだけで。
無性に、腹が立って、
「なんで、なんでやねん、謙也!」
気づけばいつの間にか胸ぐらをつかんでいた。
「おい、白石やめえや!」
小石川の静止がかかる、けど、やめない。やめられない、
「なんで、なんでそないなこともっと早く言ってくれんの、!?おれは、おれ、は、、」
俺は、また謙也とテニスができる、そうずっとおもっていた
ずっと、また同じ教室で、
ずっと、
なのに。
「なんで、相談のひとつもしてくれんかったんや、」
ぽたり、
空はムカつくくらい晴天なのに。
太陽の日差しが熱いくらいなのに。
足元のアスファルトに水がポツポツと落ちる。
高校ちがうとか、テニスもうやらんとか、謙也の人生や、俺が口出しできるわけない。せやけど、それでも。
結果が変わらなかったとしても。
「話してほしかった。」
もっと、はやく。さきに。
一年から三年まで、もうなんかで結ばれてるとしか思えないくらい毎回同じクラスで、一番話しやすくて。
俺は、
「親友やって。ずっとそう思ってた。けど、違ったんやな、」
なにも、なにもはなしてくれなかった。
噛み締めた唇からは鉄の味がした。
「もーしらん、おまえなんか東京でもどこへでも行ったれ!!!!!!!!もー二度と帰ってくんな!」
ドン、と体を殴ってそのまま階段をかけ下りる。
「っ、しらいし!!!!!!」
もう、いまはなにも聞きたくなかった。