壊したのは……
砥 聖正の憂鬱+α。*

20/05/17 17:20 Sun*



Today's Character:砥





「やあ、久しぶり。一体どうしたの? その怪我」

死神……


鷹森夕凪を調べるために少しの間だけ手を組んだが、何を考えているのかさっぱりわからない気味の悪いヤツだ。

町中の監視カメラに侵入して、俺たちの居場所や行動を把握し、鷹森夕凪を妙なゲームに巻き込んで付け回す変態野郎。

「白々しいな。お得意の覗き見で知ってるんじゃねえの?」
「わぁお、心外だなぁー。僕は僕で夕凪くんを守ってただけなのに。でも今回の一件でそんな僕の行動がバレちゃったから監視映像にアクセスしづらくなっちゃったんだよー。だから教えてよ、あの日のこと」


鷹森夕凪を守っていた?

そもそもあの金髪野郎を刺激したのは死神だと聞いた。
俺の時みたいに妙な入れ知恵でけしかけたんだと。


「っていうか、チアキくんのリタイアがビックリすぎて……というか急展開すぎて、知りたいことが山ほどあるのに、チアキくん関係だからχ方面には探りを入れづらいでしょ。だから今日はキミにとことん喋ってもらわないとね!」
「こっちは思い出したくもねえっての」

ボロボロだった鷹森夕凪も、そんな姿にショックを受けていたχのメンバーの顔も、その後聞かされた鷹森夕凪の過去も、後味が悪すぎていっそ忘れられたらとさえ思う。

だから俺をあの場に巻き込んだコイツは心底腹が立つ。


「それはズルイよー。僕のおかげでキミもようやく本当の夕凪くんがわかったんでしょ? 誤解も解けたことだろうし、大きな見返りが欲しいなー」


言い方がいちいち気に障る。

もっと早く、ちゃんと教えてくれていたなら、俺はあんな風に鷹森夕凪を傷付けずに済んだ。

あんな現場に居合わせずに済んだはずだ。



「死神、お前は鷹森夕凪のことをどこまで知っているんだ?」

これ以上、コイツの手の平で転がされるのはゴメンだ。


「そんなの、知りたいことだらけだよ」

「は?」

「アイツの過去については?」
「なにそれ詳しく!」

なるほど。……そうか。だからあんな真似が出来たのか。

ボロボロになった鷹森夕凪に追い打ちを掛けるように、銀嶺の制服を着た過去の幻影を呼び寄せた。



「鷹森夕凪を壊したのは、お前だ」


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