スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

必読

この物語は
フィクション
です



内容に
自殺
自殺志願
樹海
喫煙
飲酒
抗精神薬
リストカット
幻覚
幻聴

等の表現が含まれます

決して上記のものを次長するものではありませんが
自主規制により
15才未満の方の
閲覧はお断りします


なおこの小説はモバゲーTownに2007年クリエータ投稿した内容を一部修正したものです

amepike

Introduction

誰かイカレチマッタ僕の頭を治して下さいと

すがるようにタウンページで精神科を探しては、精神科を何軒も通ったが、どこの病院もろくな問診もなく適当な薬を処方しておしまいだった

処方された薬をピルブックで調べては、ろくすっぽ飲みもせず

先生もっと効くの出して下さいよなんて言っていた

とにかく軽い幻聴と鎮痛剤の効かない頭痛、十分休養しているはずなのに何時も身体が怠くてたまらない

そして理由ない鬱状態

生きていることは苦痛でしかなかった

ある時、病院の先生が抗鬱剤の新薬が出たんだけど試してみますか?と言ってきて、そいつを試したが全然駄目だった


もう終わりだな……
 
もし教授が本当にいるなら、僕を治してくれるに違いない
なんて阿呆な事を考えていた


僕はあのフリーマーケットでオフサイドトラップに引っ掛かったのだ

 
そしていつしか僕は星の王子さまのように自殺を真剣に考えるようになっていた……
 

1話 遭遇

僕は28になったら僕は死ぬものだと思っていた、だからそれ以降の人生計画なんて全く白紙だった

あの忌ま忌ましいキッチンタイマーの後遺症に悩まされ毎日憂鬱に僕は苦痛だけの空虚な時間を浪費してた

今日が何月何日で何曜日なんて、わからなくなっていた

そうだ樹海へ行こう

ただ漠然とそう思って、半年間、溜め込んだ睡眠導入剤を持って樹海へ向かった

樹海入口のバス停を降りると、まず目に飛び込んだのが、こんな看板だ

たったひとつの
いのちを大切にして
一人で悩まず相談して下さい

連絡先
****警察署
TEL******110

ここまで来て警察のお世話になるなんて御免だね

もう日が暮れようとしていた

とにかく早く樹海に入ろう

人気ない林道を奥へ奥へ1時間は歩いただろうか林道もいつの間にか獣道になっていて、既に辺りは暗く、森、独特の湿気を帯びた空気が顔にまとわりついていた

此処までくれば誰にも見つからないだろうか?

歩き疲れた僕は腰を下ろし、煙草を一服していた

暗闇の森の奥からガサゴサと草を掻き分けて、こちらに何かが向かって来る

僕は恐怖にかられた



あのぅおたく自殺志願者ですか?

それがフジオさんとの出会いだった
 

2話 咽び煙草

薄い月明かりを頼りに、よく見ると声の主はスーツ姿の中年男性だった
僕はその力ない声の感じと樹海とミスマッチなそのスタイルで、直感的にこの人も自殺志願者なのだとわかった

あのぅよかったら、煙草一本もらえますかぁ

どうぞ
僕の吸っている煙草、Echoだから辛くてきっついっすよ
それでよければ

僕は煙草を差し出し、煙草に火を点けてあげた

フジオさんは、ゲホゲホと苦しそうに咳こんでいた

お恥ずかしい、自分 煙草吸うの初めてで……

そうですか…それじゃあ美味しくないでしょ



しばらく沈黙が続き僕が切り出した



どうせ死ぬのなら、その前に正しい煙草の吸い方でも教えましょうか?

はぃ


ではですね
まず苦しいですが
肺いっぱいに煙りを吸い込んで下さい
もっと深く…
苦しいですけど、そこで息を止めて下さいね

まだまだ煙りをはいては駄目ですよ

どうですか?


身体が軽くなって、クラクラしますね
これは癖になりそうだ

僕は付け加えるように
お尻むずむずしません?と問い掛けた

そうですね何だか、用をたいしたい感じです

煙草の気持ち良さは吸い始めの頃と禁煙後しか味わえませんけどね

といつしか僕は得意げになっていた


僕とフジオさんはお互い軽く含み笑いをしていた

笑う事なんかすっかり忘れてた僕は誰にも見付からずに死のうとやってきた樹海で笑っていた
 

3話 最後の晩餐

ところでお腹空いてませんか?よかったら私、最後の晩餐ぐらい豪勢にと思って、色々持ってきたんですよ、どうですか?一緒に?

そういえば昨日から僕は何にも食べていなかった

いいんですか?

ええ・一人で食事をする程、寂しいものはないですからね

そう言ってフジオさんは冷めきったコンビニの弁当を一つ僕に分けてくれた

さぁ食べましょう

はぃ

だけど…これ食べ終わったらフジオさん死んじゃうんですよね?


暫く僕らは箸もつけずコンビニ弁当を眺めていた


そうですねぇ……まあ、とりあえず食べてから考えましょう


僕らは、ささやかで豪勢なコンビニ弁当を食べた

なんかこんな山奥でコンビニ弁当食べてると、イースター島でカップラーメン食べてたCM思い出しちゃうな……

とフジオさんは呟いた


僕はなんだかよく判らないが号泣しながら、美味しい美味しいと、その冷めきったコンビニ弁当を食べていた

こんなに美味しいご飯を食べたの何年ぶりだろう

 




まあ今日のところは寝ようとしましょう
死ぬのは明日でも出来ますから


僕達はじめじめして、かび臭い樹海で寝ることにした

フジオさんは持参したワンカップを飲んで
僕は睡眠導入剤を一錠飲んで


そう死ぬのは明日でもできる
  
前の記事へ 次の記事へ