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リクエストについて

おはようございます。最近は忙しさから更新を疎かにしてしまい申し訳ない限りです。今日は小説ではなくリクエストについての記事を出させていただきます!



リクエストは随時募集しております!
但し頂いたリクエストの中から幾つかを選んで書かせていただく、というような形になります。
書けるcpも限りがあります。
それでもリクエストがしたいという方は、

1.名前(もちろん本名じゃなくて大丈夫です)
2.cp(裏の場合は左側が攻め/書けるcpは↓にて)
3.裏あり/なし
4.おおまかな内容(アバウト過ぎると予想と違った受け取り方をしてしまうかもしれません笑)

を拍手コメントか、記事のコメント欄にて送信してください。
不備が有れば申し訳ないですが選ばれないです。

書けるcpは、
こじはる、ゆうこ、ゆきりん、さっしー、みぃちゃんの中でどれを組み合わせても書けます。(例、こじゆう、さしゆうなど)
他にこのcpはどうですか!という方はリクエストの際聞いてください。


皆さんのリクエストお待ちしております。






猫時雨。



4.君の声が聴こえるから

haruna side
___



『「ごちそうさまでしたっ」』






「陽菜の歌、聴いてみたい。」


そう言って陽菜を見つめた優子。
なんでかな、陽菜も優子になら歌を聴いてほしいと思えた。けど、ギターは川に捨ててきてしまった。それを優子に言うと、"アカペラじゃだめなの?"って聞いてきたからアカペラで歌うことに。


いつも路上で歌う3曲より、今優子の前で歌う1曲の半分の方が緊張する。
陽菜が作った歌じゃなくて、陽菜の大好きなアイドルグループの曲にしよう。きっと優子なら気に入ってくれる。


『〜♪傷付くことを恐れはしない…』
『自分の夢を探しにいく、最初のうさぎになろう…♪』


歌ってる途中、歌詞が心に染みてまた涙が溢れそうになったけど、優子の方を見るとそれも無くなった。
だって、優子が涙を溜めながら微笑んでいたから…。
歌い終わり、優子の感想が聞きたくてじっと見つめていたら、
「陽菜の声、ずっと聴いてたい…」って嬉し過ぎる一言をくれた。


「歌うの、やっぱり諦めちゃだめだよ」
『…え?』
「この声聴いちゃったら、もうそれしか思えない」
『けど…』
「大丈夫」


陽菜は優子を信じたい。けど、今の優子の言葉はあまりにも軽く感じた。
陽菜が絶望した世界にもう一回飛び込んでも大丈夫って…なにを根拠に言ってるんだか。地元にいた時の仲間と同じだ。


『…無責任だよ。そういう期待、もういらないから』


口から出た言葉は優子を否定する言葉。ネガティブな陽菜の言葉。


「…ごめん。でも……歌ってくれないと……れない…」


優子の目から涙が溢れて、弱々しく震えた声は聞き取れなくて。
陽菜はなにをやってるんだろう。泣かせたかった訳じゃないのに。


『優子、ごめん。』


なんて言ったの…?


「陽菜が歌ってくれないと、この先私は陽菜を見つけれない…」
『陽菜はずっとここに居るよ…?』
「違う。違うの…陽菜は変わらなくても、私が変わってくから…」


今日は2人とも涙ばかりだ。
とりあえず優子の背中を撫でて、落ち着くまで待ってあげる。

「病気で…見えなくなるの、ぜんぶ。」
『うそ…ほんとに?』
「嘘言わない。これから何も見えなくなって、陽菜のことも見えなくなる。」


真剣な顔付きで教えてくれた。
優子の方が怖いはずなのに、陽菜は何に怯えているんだ。陽菜は何で死のうと思ってたんだ…。優子は強かった。


『そう、なんだ…』
「…だから、陽菜にはずっと歌っててほしい。陽菜の声が、好きなんだ…」


陽菜の中の諦めたものが、優子の希望になるとしたら。
優子の希望のために、陽菜は歌おう。


『おかしいね。今日会ったばっかじゃん。何陽菜の未来決めちゃってんの』
「本当、私の未来も変わっちゃった」


陽菜が描いてた未来も、がらりと変わる音がする。


『あ、そういえば…家に連絡いれた?』
「んーん。1人暮らしだから大丈夫」
『1人暮らしなの?高校生なのに』
「…親いないから」


優子の秘密、二つ目。
優子は、これからどうしていくんだろう。友達に助けを求めるのだろうか、入院するのだろうか。
…出来ることなら、陽菜に頼って欲しい。


『いつでもおいでね』






「お邪魔にならない程度にね」



_____

私の声は届いてますか____?。
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3.君の声が聴こえるから

yuko side
__



『おじゃま…します』
「そっち、座ってて?簡単なものでいいなら出すから」
『あ…お願いします』



ん、と頷き私の頭をぽんぽんして陽菜は台所に行った。
陽菜の部屋は、お世辞にも綺麗とは言えなくて、服やDVDなどが乱雑に広がっていた。

ソファーに座って待っていようかと思ったけど、せめて少しでも綺麗にしたくて、床に散りばめられた服を拾ってまとめ、DVDをBOXにしまう。
少しだけ綺麗になった部屋を見て、少しだけ嬉しくなった。
すると、次に目に入ったのは所々に落ちている紙。チラシかな、と思って拾って見てみると、中身は五線譜。音符が書いてあるものもあれば、何も書いていないものもあって。
中には歌詞のようなものだけが書いている紙もあった。そういえば、陽菜は何をしているんだろう。

その歌詞が、陽菜が書いたものであれば少しは掴めるかもしれない。
興味深々だった私は、陽菜が書いたであろう歌詞を読んでいた。
歌詞から読み取れたことは、陽菜は何かに諦めを感じている、この毎日は報われない、人生ごと終わりたい、そう思っているんじゃないかということ。
何をそんなにヤケになってるのかはわからなくて、他に手掛かりがないか落ちている紙を夢中で漁っていた。


「優子。」


陽菜が来ていたことも気付かずに…


「優子!」

ハッとした。
悪いことをしているとは思ってなかったけど、見上げた陽菜の表情は険しかった。


『ごめんなさい…』
「いいよ別に。ご飯、出来たから食べよ?」


さっきの表情とは打って変わって、優しく微笑んで私の腕を引いた陽菜。
けど、私は知りたかった。陽菜の歌詞の意味を。


『…陽菜は、死にたいの?』


初対面の人にこんなことを聞くのは間違っている気がするけど、私は陽菜を放っておけなかった。だって、自分と陽菜は似ていると思ったから。
何がそうさせてるかは違うと思うけど、それが諦めを招いている、そう思った。


「…。死にたいよ」
『どうして』
「陽菜、歌ってたいよ。けど、この世界は陽菜には厳し過ぎたみたい」


陽菜は、歌手らしい。


"諦めないで"その言葉は口から出かけて塞いだ。
陽菜は歌っていたいんだ、けれど売れないのに歌うことは出来ない。
歌を仕事にすることは出来ない。


陽菜はそれがわかってるから、悩んでいるんだ。
やっぱり私と同じじゃん。
私は目が見えなくなると言われた今、人に何をしてほしいんだろう…


「ゆ、こ…?」
『大丈夫。私がいる…』


きっと、抱き締めて大丈夫って言ってほしいんだと思う。そばにいるからって言ってほしいんだと思う。
私と陽菜が同じなら、私たちの求めているものも同じだと信じたい。


『私もね、むしゃくしゃして、泣いてたんだ。そしたら、陽菜が来てくれた。』
「…ぅ、ん…」
『だから陽菜がむしゃくしゃした時は、私がいるから』


陽菜が泣き止むまで、ずっと抱き合っていた。
泣き止んだ陽菜は、目を赤くしながら「どっちが大人かわからないね」と笑った。
"大人ってなんだろう"と問えば、"陽菜もわかんないや"って返ってきた。



「優子、ありがとう。」
『何もしてないけど』
「んーん。何かしてくれたから言ってるの」


嬉しそうに笑った陽菜はさっきみたく頭をぽんっとして私の腕を引いた。



「ご飯、食べよっか」




_____

貴女を、見ていたい___。
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2.君の声が聴こえるから

haruna side
________



「まだギターも荒いし、声も安定しない。このままだとデビューは厳しい。」




何度言われただろう。
地元にいた時は上手い上手いとチヤホヤされて、調子に乗って音楽界に飛び込んだんだけど…その世界は厳しかった。


今日もアルバイトが終われば路上で3曲歌って、それから家に帰って、また明日もバイトをして、3曲歌って…そんな毎日の繰り返しで。
陽菜はどうせこのままなんだ。
そんな自分に苛立って、肩に掛けていたギターを川に捨てた。


涙は溜まりもしなくて、流れもしない。
陽菜の音楽ってこれっぽっちだったのかな…明日からは真面目に就活始めなきゃ、なんて軽くなった肩を気にしないように考えごとをしながら慣れた家路を歩いていると、誰もいない道の端っこに、しゃがみ込んで泣いている女の子がいた。


その子を見ると膝から血を流していて。話しかけてみると陽菜を見上げて、その顔がどこか幼くて可愛かった。絆創膏を貼ってあげると落ち着いたのか軽く頭を下げて陽菜に背中を向けて歩き始めた。


んだけど、すぐに止まってキョロキョロしだす。
どうしたのって問えば道がわからないらしい。
だから、その子の手を引いて、陽菜の家の方向へと歩く。

きょとんとしているその子は最初こそ焦っていたものの、すぐに大人しくついてきた。
暗いから危ないし、泣いてたし、何より陽菜のそばにもう少し置いていたい。

軽い肩を誤魔化すのうにその子の手を強く引いて歩く。
帰ったらなにを作ってあげようか。


『…陽菜って呼んで。』
「陽菜」
『そっちはなんて呼べばいい?』
「優子」
『優子』
「ふふ」





__


貴女の闇を、見るだけの私を許して__。
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1.君の声が聴こえるから

yuko side
________




"目がだんだん見えなくなってくるんだってさ"





「優子ごめん。俺には重いかも…」




あぁ、やっぱり。



『いいよ。いきなりごめんね。今までありがとう』




苦笑いを浮かべた彼。好きなのかよくわからなかったけど、良い人ではあった。
目が見えなくなる。そう言われたら誰だって別れを切り出すと思う。
私たちは永遠を誓い合ってなどいない、ただの青春の一コマを彩るだけの付き合いだったのだから…。


彼に背中を向けて走り出す。
狂うほど好きではなかったはずなのに、目に溜まる涙は抑えられなくて。
泣きながら家路とは逆の道を走る、走る。



『…ったぁ、はぁ…もう…』



足元が見えなくなって、石ころに躓き転んでしまった。
そのせいで膝は擦れて血が滲むし、鈍い痛みも走る。これからはこの傷も見えなくなって、歩くことさえも難しくなる。
そう思うと、自分が段々惨めに思えてきて、立ち上がることを忘れてその場で泣きじゃくっていた。


「…あ、血出ちゃってる…。大丈夫?」




どれくらい泣いていたんだろうか。
ふと上から声が聞こえて、その声の主の方を見上げると、辺りは薄暗くなっていて。でもその綺麗な顔ははっきりと私の目に映った。




「これでよしっと…ほら、もう痛くないよ」



その人は私の横にしゃがみ込むと、血の滲んだ膝に絆創膏を貼ってくれて、私の頭を撫でるとにっこりと微笑んだ。


『あ、りがとうございます…』
「いいえ。もう痛くないから泣かないで?」
『…いや、痛くて泣いてたんじゃないです…』



優しく微笑んだその人に、ふと漏らしてしまった本音。
あまり自分のことをペラペラと話すのは好きじゃない、病気の話だと尚更。


『彼氏に、振られちゃって』
「…あ…そうなんだ…?」



「次はもっと良い人見つかるといいね」




あまり長話する気分でもなかった私は、その人が掛けてくれた言葉に頷いてから軽く頭を下げて帰路へと戻っていく。





はずだったんだけど…





『ここどこだろ…』



夢中で走ってきたから、ここがどこだかわからない。まずい。このままだと家には到底辿り着かない。



「…帰らないの?」
『帰ります…けど』
「けど?」
『道がわからなくて…』



後ろから聞こえた問い掛けに振り返って答えたら、お姉さんがまたこっちに歩み寄ってきて。



「今日はもう遅いから、陽菜んち来る?明日送ってってあげるから」
『へ?』
「…決まり。夜に泣いてる女の子が1人で歩いてたら危ないにきまってる。」




強引に手を引かれて知らない道を私は歩く。涙なんてもう渇いたのにな。
知らない人の家に行く方が危ないよな…なんて考えたけど、この手から伝わる暖かい体温が心地良かったし、単純に私を助けてくれると思った。



___


その声が、大好きでした___。
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