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エイプリルフールネタと日記
「もう一人のボク…ボク、赤ちゃんできたみたいなんだ」
( ) ゚Д゚
そう言われたとき、男は、咄嗟にこれ以上の反応を思いつかない。いや、思いつけない。
それは、責任とか、後悔とか、そう言うものではなく、驚きが先行して、目や口のパーツが空中分解してしまうものなのだ。…すべからく。
…ん?というかちょっと待て…
「あ、相棒は男だろ!」
ああ気が動転しすぎてうっかりするところだった!びっくりした!ああびっくりしたぜ!!
「もー当たり前じゃないかもう一人のボクー」
そうだ!そうそう、きっと城之内くんあたりが相棒にこんなことを吹き込んだんだな。「冗談だよ、城之内くんがそう言ってみろって言うから…」と、俺を驚かせる算段だったんだろうが、甘い。俺はそんなものには…
「…認めて、くれるよね…?」
……え?
「もう一人の…ボクの子なんだよ」
「なっ…ああぁあああ!!!!?!?」
愛おしむように自分の腹を撫でる相棒。片や俺は大パニックだ。
「あ、相棒…どういう、意味だ?」
しかし、俺がそう言うと、相棒は驚いたような顔をして、次の瞬間、その瞳から大粒の涙がぼたぼた流れだした。
「ひど…ひどいよもう一人のボク…あんなことしといて…どういう意味だなんて…」
何をぉおお!!!?何をしたんだ俺はぁあ!!!!!くそ!少しうらやましい!……ってそうじゃなかったぜ!!
それはまぁ、相棒が女の子だったらとか、孕ませたいとか、結婚したいとか思ったことがなかったかと言えば…嘘だ。いや少し論点がズレてしまった。たとえ子供ができたとしても、それは相棒との愛の結晶だ。俺としては大いに結構。
しかし。しかしだ。
相棒は生物学的には男だったはずなのだ。そして本人もそれを認めている。なのに、だ。なのになぜ子供ができる!?
「そ、それで相棒…何…ヶ月なんだ…」
原理が理解できないためにおっかなびっくりで問いかけた。が、相棒は顔を赤くしてうつむくと…
「実は……臨月なんだ…」
( )
「は、腹出てないのにか!」
「うっ!」
しかしその時、相棒が突然しゃがみ込んだ。
「…生まれる…!」
え、えぇえええ!!!!!!!!な、なんなんだこの急展開は!!
「お、遊戯、アテム、何してんだこんなとこで…」
「城之内くん!いいところに!い、今!俺たちの子が産まれそうなんだ!!れ、霊柩車を!!」
「は!?いや救急車だろ!!生命の誕生間際になに死の使い呼んでんだよ!!ていうか…子供?!」
「相棒!がんばるんだぜ!ひっひっふー、だ!ひっひっふー!」
「もう一人のボク…ボク怖いの…、手、握っててくれる…?」
「わかったぜ!がんばるんだぜ!」
「あいぼぉおおお!!!!!!!」
……………。
「え」
気づけば、俺はベッドから跳ね起きていた。
「夢…?」
ああそうか、それなら納得がいく。そうか、そうだよな。相棒が子供を産むわけないぜ。
「もう一人のボク?朝からどうしたの?」
すでに起きていた相棒がベッドのそばにきて、俺の額に手をあてた。あたたかくて、とても心地がいい。ああ…本物の相棒だ…。その手を取って、指先に口付ける。
さっきの夢も悪くはなかったが、やっぱり本物の相棒が一番だ。ああ、このままベッドになだれ込んだら相棒は怒るだろうか…。まぁ怒られたら怒られたで…。
相棒の腕をつかんでベッドに引っ張り込み、その上に覆い被さる。
ん?なぜだ?今日は憎まれ口もないし、ずいぶんと抵抗も…
「もう一人のボク…実はボク、赤ちゃんできたみたいなんだ…」
俺の夢は、まだ続いているらしい。
おわり
一回目は予知夢
二回目は現実です。
城之内くんに吹き込まれました。