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文ゆん

「ごめんねぇ、今日混んでるから相席でもいいかしら」定食屋のおばちゃんは申し訳なさそうにそう言って私を二人がけの小さなテーブルへ案内した。会社に近くて美味しくてお財布にも優しい定食屋は通い始めて半年ほど経とうとしていた。普段はやや並ぶ程のこのお店も今日は珍しく客でごった返していた。

「すみません、相席させて頂いても宜しいですか?」

既に席につき新聞を読みながらご飯をつつく男性に声を掛ける。それまで新聞に落とされていた目がこちらをみた

(すごい隈…)
「あ、はい。どうぞ」


そう言って彼はテーブルに広げていた携帯や手帳等を素早く鞄にしまった。小さく会釈して席についた。
それから特に彼を会話をする事もなく、面識もない彼とのテーブルに不思議な空気が流れた。ややすると先程おばちゃんに頼んだ鯖味噌定食が運ばれてきた。ごめんね、とおばちゃんは小さく謝りことりとテーブルに何かを置いた。

「これ、相席のお詫び」

それはお子様用の小さなプリンだった。

ざわざわする店内とは裏腹に私達の座るテーブルはカチャカチャと箸と食器とがぶつかる音だけが響いていた。するとなんだろう、先程から目の前に座る男性からすごく視線を感じるような気がする。最初は気の所為だろうとその視線を無視していたが、どうもそうではないような気がする。彼の手が止まっていた

「あの、何か?」
「ん?あ、いや…申し訳ない。」
「??」
「その箸使い、少し間違ってるぞ」
「…は?」

一瞬何を言われたのか分からなかったが、どうやら私の箸使いについて指摘されたようだった。何故初対面の男性に箸使いについて小言を言われなければならないのか理解できない。なんなんだ。
すると彼は頼んでもいないのに箸を持ち直し、私に良く見えるように「いいか、箸はこう持つんだ」といきなり指導をし始めた。
…お節介にも程がある。それから私の隣に移動して私の手を掴み正しい箸の持ち方に持ち直させたりとやりたい放題である。全くついていけない私はただ呆然と座るだけだった

覇ゆん

折角の誕生日でもあたしも夏侯覇も仕事。あたしは朝早くて、昨日運悪くバーの仕事まで入ってしまった夏侯覇は帰りは遅くあたしが眠ったあとだった。夏侯覇を起こさないようにそろりそろりと家を出て仕事場へ向かう。珍しく日曜日と誕生日が被ったと思ったのに、仕事になるなんて。全くついていない。
バタバタと仕事をこなし、携帯をいじる暇がないほどで気が付いたら就業時刻はすぎ、夜8時を回ろうとしていた。まだ残る同僚達に別れを告げいつもより少し遅い帰路につく。足はクタクタ、誕生日なのに。今更になって虚しさが出てきた。夏侯覇は何をしているだろう、今日は確かカフェ勤務だけだった筈だ
夏侯覇が待つであろう我が家に帰ると部屋の電気は消えていた。夏侯覇はどこか出掛けてしまったのだろうか。真っ暗な家にひとり入る。虚しさが増した気がした。気が付いたらそのまま玄関にへたり込み涙が流れてきた。

「…っ会いたい…」
「…ゆん?」

不意に声が降ってきた。

見上げるとそこには右手にはケーキ、左手にこんもりとした花束を抱えた夏侯覇がとぼけた顔して立っていた。いやいやいや、と聞きなれた口癖を口にして彼はあたしの方へしゃがみ込む。夏侯覇をみて安心したのかもっと涙が溢れた

「どうしたゆん!どっか痛いのか?大丈夫か!?」
「…っ覇、くん…ッ」
「ごめんな、帰り遅くなったからだよな?ごめんな、おかえり。ゆん」
「た、ただいまぁ…っ覇ーくん…!」

ボロボロ溢れる涙は止めることが出来なくてまるで子供のように泣きじゃくった。どれだけの時間そうしてたかわからないが、泣いている間夏侯覇はずっとあたしの背中を撫でてくれていた。

覇ゆん

「父さん!!俺決めた、あの子を嫁にしたい!!」
「いやいやいや!よく考えてみろ息子!夏侯家は代々曹家とって決まってんだ。第一あそこの一族はだな…」
「代々とか知らないし、俺はあの子じゃなきゃ駄目なんだ。父さんだって自分の思った人生をって言ってただろ?」
「…息子」

覇ゆん

カフェ無双覇ゆん小説
nanos.jp

鍾ゆん

「あらゆん殿、嬉しそうね」
「元姫殿!ふふ、鍾会殿に文を頂いたの!」
「まぁ、鍾会殿が…結構まめなのね」
「ええ、何かある事に文をくださるの」
「なんて書いてあったの?」
「新しい簪が似合うと褒めて下さいました」
「…そう、良かったわね(それくらい直接言えばいいのに)」
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