レイ・ブラッドベリの短編集、素敵でした・・・
帯には
「その幻想は美しく、ときに恐ろしい
メランコリイの魔術師が魅せる悪夢たち」
と書かれているのですが、まさにこの言葉通り。
あまりに感動したので、一話ずつ簡単な感想をば。
Uボート・ドクター
登場人物の心理が全く読めないにもかかわらず余韻だけは必ず残す。
レイ・ブラッドベリらしさ全開の作品でした。
ザハロフ/リヒタースケールV
発想が面白い。あとがきでこの話ができる経緯を著者自身が説明してくれるのですが、腹を抱えて笑いました。
忘れじのサーシャ
サーシャの的確な言葉が胸に刺さります。優しい物語には思えなかったな。
またこのざまだ
こういう発想をさらりと書いて人に影響を与えるのはすごい。
電気椅子
アダルトな雰囲気でした。唯一なんだこれ?と思った作品。
石蹴り遊び
すごく瑞々しい若い男女のやりとりでした。レイ・ブラッドベリにテーマ恋愛を求めていなかったけど、すごく綺麗な話になっていて、本当に多才だなぁと。
フィネガン
英ドラマ「SHERLOCK」のシャーロックとジョンを彷彿とさせるキャラでした。そう重ねて読んでしまったせいか、悲しくて泣きそうになりました。大好きな話。
芝生で泣いている女
切ない話だと感じました。こういうどうにもならない話はやきもきしてああああってなります。
優雅な殺人者
結果から推測できる固定概念をまるまるっと覆してしまう話。星新一らしくて面白い。好きな話。
瞬きよりも速く
表題作にもかかわらず、電気椅子と並んでよく意味がわからなかった話。私には難しい。
究極のドリアン
本文のインパクトもさながら、本文の終わった後にむけて「ど、どうなったの!?」と叫びたくなる作品。ここまでその後が気になる短編はなかなかない。
何事もなし、あるいは、何が犬を殺したのか
最後のオチ的な部分で思わず笑ってしまった。憎めない話。
魔女の扉
背筋が冷たくなる不気味な話。これまた星新一っぽい捻られた作品。
機械のなかの幽霊
自転車のことなのだろうけど、こんなふうに発明されているのかと思うと笑いがこみ上げてきます。
九年目の終わりに
なるほどーー!そういう考え方もあるのね!そしてまたまたそういう切り返しもあるのね!と、ひとり感心させられました。
バッグ
「うん、よかったね」
レガードでもう一度
なんかよくわからないけど、最後に安心感がどっと溢れた作品。
交歓
何十年経ったあとで自分を救ってくれるのは、親しかった友達でもなくて、なんでもない人だったりするのかと。
無料の土
これも先が気になる作品です。土をもらいにきた男の正体も気になる。
最後の秘跡
こういう使い方もあるんだなぁとレイ・ブラッドベリに慄きました。『華氏415度』でも感じたのだけど、著者は文学作品が好きなんですよね。尊敬して著書に引用はしても、嘲りのためだけに引用したりはしないし、何より知識が豊富。最近、日本文豪の生き様と作品に興味をひかれていたので、なんとなく親近感を覚えました。
失われた街道
星新一っぽいけど、星新一だったら救いがたい話になっていたところをレイ・ブラッドベリならではの情緒あふれる作品に仕上がってます。なんだかんだお気に入りの話。
レイ・ブラッドベリ自身によるあとがきも、本編に負けず面白いので必読です!
本屋で探してみると、早川書房以外にもレイ・ブラッドベリの本が出版されているんですね。早速二冊買ってしまいました。海外作家は翻訳ぶんもあって値段がかさむのですが、ただただレイ・ブラッドベリを読みたいがために1冊千円も出しました(>_<)楽しみ!