いたるみさいる殿
用意された滑り止めの未来。
明日は会社がお休みで、ギターでも弾いてみようかなーなんて。音楽が好きなのね、そうだね音楽って素晴らしいよね、心が救われる。
その程度の思いを並べるお前らに、ベースしか持てない男の一体何がわかると言うの?
「この男が売れたら世界はウソだ」って騒いでる。
例えベースを置いたって世界は"ホンモノ"になんかならないというのにだ。
タコだけ食って何が悪い?プリンも完食しねえぞおそらく。前歯がなくてもベースは持てる、ヒモになるのがカスだってんなら、ロックンロールはおしまいだよね。
世界一のろくでなしに幸あれ。
THEイイ奴より【ろくでなしに贈る変態恋文】
iPhoneから送信
瞬間ハイライト ピースオブケイク映画化記念作文。
【題名 26歳、朝飯前 名前 菊地瑞穂】
青塗られた空に、蝉やヒグラシが寄って、向日葵の黄色が風に吹かれる。
僕は確かにそこにいたのに、もう確かにそこにはいません。僕はもう、26歳。
勢いよく飛び出す僕、怖いものなんてなんにもなかったんじゃない「本当になんにも知らなかったんだ!」
飛び出した後は、手のひらの中を何か儚いものでいっぱいにした。つまずいたら、すぐ壊れた。それから、わざとつまずいた、やっぱり壊れた。
壊れた破片は僕を刺した、刺された僕はロッカーに押し込んだ、鍵はすぐに捨てた。
幸せな毎日を過ごしています、お酒を飲んで賑やかに過ごしたり、好きな音楽を聞いたり、植物に水やりをしたり、動物を飼ってみたり、本を読んだり。
失ったり、得たり、そうして翻弄されている状態に美しさを感じる事、それは人の醍醐味でしょうか。僕はまだ、26歳。
なんとなく好きだった歌も、今ではもうアルバムの中の最後尾に名前だけ残している、僕はサヨナラを覚えようとしていた。だけど。
僕「好きな言葉は?」
僕じゃない人「希望」
青塗られた空に、蝉やヒグラシが寄って、向日葵の黄色が風に吹かれる、僕は確かにそこにいないのだけれど、
"行けるかもしれない"と、確かにそう思った。
【変態恋文】
タクシーには、秋晴れの朝に降ろされた。
同じ朝、季節だけが巡っていた。
若さに拍車はかかるばかりで、僕の伝えたい事がいつまでたっても言葉にならない、反抗心から溢れる毒に愛なんて、愛なんて。
どこかの誰か、私を愛す事を辞めていた。
分かりあえなかったんだ、悪あがきのお手紙をツラツラと書き殴ろう、そして僕の家のポストをひらけない返信の便りでいっぱいにしてほしい、そうして僕はポストの前を通るたび、きっと君の事思い出そう、約束しよう、僕は君の事忘れないと。
タクシーを降りた瞬間、僕は秋風に揺られた。知らない季節だ。刹那を思いながら、タクシーが角を曲がるのを見ていた、あのタクシーが僕を降ろすことはもうない。
人Aさん「タイミングが合わないということは縁がなかったということ、今までの人生で会える人と会えない人が君にもいただろう?」
人Bさん「君は絵を描きなさい、救われるはずだよ」
人Cさん「獲物を狩るような目つきだね、きっと人より、見たくないものを見てきたからだと思うよ」
人Dさん「話を聞くとき、聞いていないフリをしながら聞く、それが出来る人間は少ない、だから君はそのままであれ」
人Eさん「君は本物だよ、精神的拘束に耐えられる人間こそ、本物のドエムといえる」
人Fさん「多摩川のど真ん中でびしょ濡れの自分なんてどうですか?」
人Dさん「俺は痛みを感じないから」
折りたたみ自転車みてえなツラしてうるせえな。
【ガラスのハート】
どうしよう。血液に混じったガラスの破片、心臓に流れ込んだらきっと死んでしまう!
「別に死んでもいいよ」ってあなたそう言うから、わたし特急の電車にしがみついていた。
うざったくて寂しくならなかったでしょう?そんな、出来る限りの朝のこと。
こちらの健さん、ガラにもなく「結婚しようね!」
それを聞いたあちらの健さん「へえ、そうなんですか」なんて、真顔で頷いて。
バスの時刻表みたいなツラしてる奴でもいいからどつきまわしたい。
ある日、目を開いたら、ため息が出ちゃうくらい莫大な曜日が連なっては彼方遠くの方まで横たわっているのが見えた。
僕ら息を切らして走ってみても、昨日にも明日にもたどり着けない。
家に忘れ物を取りに戻ったって、人混みをかき分けて改札を抜けたら仕事の時間には間に合うのにね。
彼方遠くの方に見えた今日も、明日にはもう辿り着けない、大切なもの落っことしたまま、誰が拾ったのかも分からないまま、今日もまた僕ら、なんとなく。