10.産業・組織の心理学 (社会心理学)
組織行動、ワークモティベーション、人的資源管理
(1)産業・組織心理学とは何か
メイヨー シカゴのホーソン工場での「ホーソン研究」
照明条件や休憩・作業時間など生産効率に及ぼす影響を調べることを目的としていたが・・・
従業員が組織の一員として認められることや、同僚との強調を思考した社会的欲求が生産効率に大きく影響
機械の効率を上げるように人間を管理する科学的管理法⇒働く人の感情、欲求、集団規範といった社会心理学的視点
組織心理学
アメリカ心理学会
産業心理学部会⇒産業・組織心理学部会
日本の産業・組織心理学会
@組織行動部門
A人事部門(人的資源管理)
B作業部門(安全衛生)
C市場部門(消費行動)
(2)ワーク・モティベーション
モチベーション:人を行動に駆り立てる内部的な力、動機
誘因:外部的な力
ワークモチベーションの理論→とらえようとする内容によって、適切な理論を選択
内容理論:どのような動機が人を行動に向かわせるのかを説明 人間の動機づけ全体を理解する
過程理論:動機どけの行動選択や方向性を中心。動機づけの過程とそこに及ぼす認知や判断の影響を説明 実際の行動の予測や統制に有効
○内容理論
<ERG理論>(アルダファ 1972)
マズローの欲求階層説を応用。欲求を3段階ととらえている。低次の欲求と高次の欲求は同時に現れるのが、マズローとの違い
成長欲求(充足されても強度や重要性は減少しない)
↑
関係欲求
↑
生存欲求
<二要因理論>(ハーツバーグ 1966)
動機づけ要因:満足をもたらす要因:達成、承認、責任、昇進
衛生要因:不満足をもたらす要因:会社の経営方針、給与、上司との人間関係、作業条件
動機づけを高めるためには、自己成長欲求を満たす要因を取り入れる(職務充実)
○過程理論
<期待理論>(ヴルーム 1964)
F(動機づけの大きさ)=Σ(E×V) E:期待:その行動がある結果をもたらすであろう確率 V:誘意性:価値、好ましさ
V(誘意性)=Σ(I×Vダッシュ) I:道具性:二次的結果がもたらされる確率 Vダッシュ:二次的誘意性
例)Σ(E:年収が上がりそうな確率×年収が上がる)⇒F(動機付けが高まる)
Σ(I:家を買ったり旅行に行ったり出来る二次的結果確率×Vダッシュ:その誘意性)
しかし、人は必ずしも期待や誘意性を合理的には判断していない
<目標設定理論>
ロックとレイサム(1984)
ある程度困難ではあるが具体的な目標が、課題達成への動機づけを高め、高業績を上げるためには有効。
パンデューラ(1986)
自己効力感:課題に対して自分がどの程度できると思うかの自己評価
適度に高い人⇒高いモチベーションを保つ 低い人⇒低レベルの目標を掲げ、モチベーションも行動も少ない
(3)職場のストレスとメンタルヘルス
人的資源管理:人事、労務管理と呼ばれていた
職場のストレス:組織、職務に関連する諸要因が、労働者と相互作用して、その人の精神機能が尋常でなくなるような心理的または生理的変化を生じさせる条件
○ストレス・システム理論(ラザラス 1984)
環境と個人の相互作用
一次的評価:その人にとって害や脅威があり、対処する努力の認識
二次的評価:それをコントロール出来るかの評価
※環境からの欲求そのものがストレス反応を起こさせるのではなく、欲求をコントロールできないという評価によって、ストレスを引き起こす
コーピング⇒情動的ストレス反応を下げることを目的とした行動
○職場ストレスをもたらすもの
<役割間葛藤>
同時に所属している組織の役割が矛盾する際に生じる葛藤
仕事と家庭:ワーク・ライフ・コンフリクト⇒女性に多い
<個人要因>
パーソナリティ(社交的かどうか)やスキル(対人コミュニケーションスキル)
セルフ・モニタリング:相手の望みや、状況に応じて行動を変えられるか。対人サービス業でのストレスに影響。
ハーディネス:高ストレス化で健康を保つ性格特性。管理職適性が高い
○職場ストレスへの対処
ラザラスの分類:情緒中心の対処
「直面」「計画的な問題解決」「否認」「自己コントロール」「責任の受容」「逃避ー回避」「肯定的な再評価」
ソーシャル・サポート
EAP(アメリカで生まれた従業員支援プログラム)もソーシャル・サポートの一つ