2015/5/12 Tue 18:02
セージの花 1

話題:連載創作小説
がうです。
殺し屋の話のちょっと未来の話を書きました。
殺し屋未来は木戸の息子、律が主人公になる予定です。
以下本文




父親を探す。
それが僕の目的だった。
友達から誘われたアルバイト。
それは僕みたいなちょっと人とは違う力を持った人たちが集まる組織。
お父さんも特別な力を持っているらしいから、きっとここにいればお父さんの情報も入ってくる。

アルバイトの内容は様々だった。
無くしものを探したり、同じような力を持った人を勧誘したり…。
そこで羽村という人と仲良くなった。
他にもアルバイト仲間はいるけど、彼女が1番だと思う。
いつも高校の制服(セーラー服)を着ている、肩の長さの黒髪なお姉さんだ。
今回の仕事は彼女と一緒に勧誘のお仕事。



*セージの花



「律、どう?」
「うん、ここが家で間違いないみたい」

玄関ドアに手を触れながら僕は羽村と小さな声で会話した。
僕の能力は過去を見る事。
大体1時間前ぐらいを見ることが出来る。

「この部屋には男が1人いるだけだからアイツで確定かな」

羽村の能力は目。
意識すれば建物とか壁とかそんなもの関係なく見たいものを見れるって言ってた。
ただすごく疲れるからあんまり実用性はないとも言ってた。

「30分前に宅配来たみたいだけど、いい人そう」
「30分前は良い人かもしれないけど、30分後はどうかわからない。油断しないで」
「うん」

羽村がためらいなく呼び鈴を押す。
少しの間があってドアが開いた。
インターフォンで出られたらなんて言い訳しようかと考えていたのに、それは無意味になった。
少しだけ緊張が和らいだ。

「はい…」
「ねぇ、おじさん何か特別な能力持ってるでしょ?僕たちと一緒に来てよ」
「なんか君たちどっかで見たような、」
「おじさんみたいに能力ある人集めてるんだ!」

ドアを閉められないように両手で押さえて、僕は必死だった。
未だにこの勧誘の仕事には慣れない。
羽村みたいにもっと堂々とできたらいいのに。

「はぁ、そうだな。立ち話もなんだから上がれば。お茶ぐらい出すよ」

予想していない答えだったけど、羽村がさっさと家に入ってしまうので、僕もそれに続いた。
勝手ではないけど、人の家に上がるなんてめったにない経験なせいか、僕の頭は半分ほどパニックになったままだった。
きっと今日の報告書は書けない、そんな考えがよぎった。



つづく
***
久々に創作活動した…。
3回で終了の予定です。
台風で雨が続きそうなので、時間つぶしにお付き合いいただければと思います。



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