昔 それは未だ僕が僕でなかった時 自分を名乗るのがひどく億劫で
自分勝手な名を名乗っていた
それでも 僕の周りの世界は 何時も正しく時を刻んでいた
昔 それは未だ僕が僕を認めていなかった時 自分が誰なのか考えるのも億劫で
自分勝手に世界を作り上げていた
それでも 僕の周りの世界は 何処も間違いがなかった

今になってやっと解かる
今になってはじめて解かる
昔も今も 僕は自分が一番嫌いで疑ったままだ

名乗るのが億劫でなくなっても 世界を取り繕わなくなっても
僕は僕を信じちゃいない
名乗るようになった分 取り繕わなくなった分
肩の重みが増加した
                               1991 Nov 14



散文