2024-4-14 15:10
04/14 | 銀色の熱情
「それはそうかもしれないけどさあ。うー……。こうなったら、いっぱい獲ってビックリさせてやる」
「泳ぐのに向いていない時期だ。くれぐれも無理はしないよう」
「わかってるって!」
こういう時のラピスは無茶をしがちだ。
やはりジッと見守っていようか。それとも、濡れるのを覚悟で私も海に乗り出すか。
いくら魔法を使っているとしても人に見られた場合、狂気の沙汰にもほどがあるな……。
どうしようか悩んでいると、ザバザバと腰あたりまで浸かっていったラピスがこちらを振り返って叫んだ。
「ちょっと! そこで見てたら驚かせられないだろ!」
人の気も知らないで。
はあ、しかたないな。私は私で大きめな獲物をしとめて驚かせてやるか。
了解の意味を込めて手を軽く振ってから背を向ける。旅に出てからはずっと二人でいたので、少し寂しい。私のほうがよほど依存している。
大きな溜息をついて、気持ちを切り替えるために空を仰ぐ。いい天気なのに肌寒く、白くなった息が見えた。
ずっと森の中に住んでいたが、このあたりに生えている木は初めて見るものばかりだ。海のそばだと生態系が少し違うのかもしれない。
そして見渡す限り獣もおらず、そういえば馬車での移動も平和だったことを思い出す。先程は運良く小動物を狩れたが、ラピスを驚かせるような大物を仕留めていくのは難しそうだ。
まあ最悪、今晩の飯が手に入ればそれでいい。あとはラピスの頑張りに期待するしかない。
たまに猫がいるが、人間の中ではペットに分類されていたので控える。自分たちで食べるのならともかく、買い取ってはもらえないだろう。
空高く飛んでいた大きめな鳥を、このほうが簡単だなと石で数羽撃ち落とした。獣と違って見える範囲にいたので楽だった。
もっと狩りたい気持ちもあるが、ラピスのことが心配だ。この程度にして早めに戻ることにしよう。
それに、あまりにたくさん狩るとそれはそれで、妙な拗ね方をされる可能性がある。ほどほどが一番だ。問題は今夜の宿代が出るかどうかになるが、足らなければまた狩りに行けばいいだけのこと。
鳥を軽く絞め、紐でしばったあとラピスの元へ戻ると姿が見えない。
潜っているだけだろうと不安になる気持ちをこらえながら浜辺まで駆け寄ったあたりで、水面からザブンと顔を出した。
「あ、クォルツー!」
無事でよかった。むしろ元気そうに笑っている。
自分でも驚くほど心配していたらしく、全身の力が抜けた。危うくその場にへたりこむところだった。かろうじて砂浜に埋もれている足の感覚がまったくない。
「泳ぐのに向いていない時期だ。くれぐれも無理はしないよう」
「わかってるって!」
こういう時のラピスは無茶をしがちだ。
やはりジッと見守っていようか。それとも、濡れるのを覚悟で私も海に乗り出すか。
いくら魔法を使っているとしても人に見られた場合、狂気の沙汰にもほどがあるな……。
どうしようか悩んでいると、ザバザバと腰あたりまで浸かっていったラピスがこちらを振り返って叫んだ。
「ちょっと! そこで見てたら驚かせられないだろ!」
人の気も知らないで。
はあ、しかたないな。私は私で大きめな獲物をしとめて驚かせてやるか。
了解の意味を込めて手を軽く振ってから背を向ける。旅に出てからはずっと二人でいたので、少し寂しい。私のほうがよほど依存している。
大きな溜息をついて、気持ちを切り替えるために空を仰ぐ。いい天気なのに肌寒く、白くなった息が見えた。
ずっと森の中に住んでいたが、このあたりに生えている木は初めて見るものばかりだ。海のそばだと生態系が少し違うのかもしれない。
そして見渡す限り獣もおらず、そういえば馬車での移動も平和だったことを思い出す。先程は運良く小動物を狩れたが、ラピスを驚かせるような大物を仕留めていくのは難しそうだ。
まあ最悪、今晩の飯が手に入ればそれでいい。あとはラピスの頑張りに期待するしかない。
たまに猫がいるが、人間の中ではペットに分類されていたので控える。自分たちで食べるのならともかく、買い取ってはもらえないだろう。
空高く飛んでいた大きめな鳥を、このほうが簡単だなと石で数羽撃ち落とした。獣と違って見える範囲にいたので楽だった。
もっと狩りたい気持ちもあるが、ラピスのことが心配だ。この程度にして早めに戻ることにしよう。
それに、あまりにたくさん狩るとそれはそれで、妙な拗ね方をされる可能性がある。ほどほどが一番だ。問題は今夜の宿代が出るかどうかになるが、足らなければまた狩りに行けばいいだけのこと。
鳥を軽く絞め、紐でしばったあとラピスの元へ戻ると姿が見えない。
潜っているだけだろうと不安になる気持ちをこらえながら浜辺まで駆け寄ったあたりで、水面からザブンと顔を出した。
「あ、クォルツー!」
無事でよかった。むしろ元気そうに笑っている。
自分でも驚くほど心配していたらしく、全身の力が抜けた。危うくその場にへたりこむところだった。かろうじて砂浜に埋もれている足の感覚がまったくない。
コメントする
現在コメントを受け付けていません。