フォルとペルという珍しいペアでのSSです。
フォルは自分で感情を"捨てた"と言っていますが、
本当は彼もそうだったのかなぁ?みたいな、お話です。
基本、通常モードのフォルは色々酷いです。
あくまで操り人形は"駒"にすぎない。
ノアールのことは一応仲間と思っているけれど…という感じ。
ともあれ、追記からお話ですー!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
フォルとペルという珍しいペアでのSSです。
フォルは自分で感情を"捨てた"と言っていますが、
本当は彼もそうだったのかなぁ?みたいな、お話です。
基本、通常モードのフォルは色々酷いです。
あくまで操り人形は"駒"にすぎない。
ノアールのことは一応仲間と思っているけれど…という感じ。
ともあれ、追記からお話ですー!
コツ、コツ、と暗い廊下に響く靴音。
それは、亜麻色の髪の堕天使のブーツの音。
彼は足を止め、廊下の窓から空を見上げた。
細い、三日月が輝いている。
「綺麗な月夜だねぇ……」
綺麗な月を見上げ、彼は目を細める。
サファイアの瞳に灯るは、冷たい光。
「……御主人(マスター)」
聞こえた静かな声に、彼……フォルは振り返る。
そこに立っていたのは、長い黒髪を背に流した操り人形(マリオネット)だった。
フォルはにこり、と微笑んで首をかしげる。
「ペルか。どうかした?」
「御主人と、お喋りしたくて……」
「僕と?いきなりどう言う風に吹き回しだい?」
構わないけどね、と言いつつフォルはペルの長い髪をそっと撫でた。
ペルは相変わらずの無表情だが、少しだけ嬉しそうな雰囲気を見せる。
「……僕を、拾ってくれたのは御主人が初めてだから」
「うん」
そうだったね、とフォルは呟くようにいった。
すると、ペルは少し躊躇うような雰囲気を見せたあと……
す、と顔を上げてフォルを見つめて、訊ねた。
「御主人は、どうして僕を、拾ってくれたの?」
真っ直ぐに、フォルを見据える黒い瞳。
光の灯らぬ彼の黒い瞳には、光がない。
―― "虚無"
それが、ペルの背負うもの。
寒さの厳しい国に生まれ、戦乱の中を逃げて。
この、イリュジアに逃げ込んだ。
誰に愛されず。誰にも必要とされず。
助けを求めても誰も助けてくれず。
―― 嗚呼、もう生きていても意味がないと。
そのままに、彼は自ら冷たい川に身を投げた。
国を捨て、自ら命を絶った彼の魂は救われることもなく、
ただただ、地上を彷徨っていた。
きっと、心の何処かに"未練"があったから。
誰かに"愛されたい"。
誰かに"必要とされたい"。
その思いが、彼を地上に縛り付けた。
それを見つけ出し、心を奪って自らの駒としたのがフォルだった。
フォルは少し悩むような顔をしたあとペルに答えた。
「何で、と言われてもね。
ふわふわ彷徨ってる君を見つけて、ほうっておけなかったから、かな?」
にこり、と笑ってフォルは言う。
そのサファイアの瞳をじっと見つめ返すペル。
暫し続いた沈黙のあと、漸くペルが口を開いた。
「……御主人」
「何だい?」
「……少し、甘えてもいい?」
フォルは少し驚いた顔をした。
しかしすぐに、ふっと微笑む。
「……驚いたな。君からそんなセリフを聞くことになるなんてね」
おいで、と言ってやると黒髪の彼はそっとフォルに抱きつく。
フォルはそっとその髪をなでてやった。
「……そろそろ、修復の時期かな」
"修復"
それは、操り人形たちの感情をフォルがうまく操作するために必要な儀式。
奪い取った感情が戻らないように。
或いは、強めた負の感情が薄れぬように。
魔術を使い、封じる儀式……
フォルが呟いた言葉はペルには届かない。
フォルにとって操り人形はあくまで"駒"で。
感情を持たぬ堕天使にとって、彼らを拾ったことに理由はない。
理由を上げるのであれば……
皆、各々に優れた魔術を持っていたから。
"使える"と思ったから。
ペルは、呪術を使うのに向いている魔力を有していた。
だから、拾ったのだと。
彼らは……知らない。
フォルは穏やかに微笑んで、ペルに言う。
その手は優しく、長いペルの髪をなでていた。
「ペル、少し眠ろうか」
「え……?」
「僕も一緒に眠ってあげる。だから……」
おやすみ、と言いながらフォルはペルの額に指を置く。
流し込まれた魔力で、ペルはその場に崩れ落ちた。
それを抱きとめて、フォルは息を吐く。
―― 愛されない、か。
「愛されるどころか実の両親に殺されそうになった僕に、君たちはそれを求めるの?」
小さく呟いた彼は、笑う。
その笑みは、自嘲を含んでいるようにも、寂しげなようにも見える。
彼が"壊した"自らの感情の中にも、あったのだろうか。
―― 誰かに、愛されたいという感情が。
「さて、と。じゃあ行こうか、ペル」
フォルは小さく呟いて、ペルを抱き上げる。
そのまま、自分の部屋に向かって歩きだした。
―― 寧ろ教えて欲しい。"愛"とは何なのか ――
("愛"の定義がわからない僕にそれを与えろと?)
性 別 | 女性 |
年 齢 | 29 |
誕生日 | 7月27日 |
地 域 | 静岡県 |
系 統 | おとなしめ系 |
職 業 | サービス |
血液型 | AB型 |