盆、夢を見た
彼が会いに来てくれる夢
『久しぶり』
ああ、迎えに来てくれた
でもどうしよう、わたし、結婚してる
一緒に行けない
そう思ったあたりで目が覚めた
隣では夫がぐっすり眠ってた
朝方、まだ4時かそこらの話。
未だにわたしは彼が好きなのだろうか
もう、顔も声もおぼろげなのに。
あれからもう十年以上
それでも、それでも、忘れられない忘れたくないのは、良い思い出に浸りたい、そんなズルい考えなのかもしれない
わたしの、唯一の青春
清々しい青空、どこかから聞こえる運動部の声、くっついて笑ってた狭いベッド
愛してた、愛してた、なんでとかどこがとかそんなんじゃなくて、理由なんてなく、ただただ彼という人を愛してた
遠い記憶、もう十数年も前
悲痛な声、忘れられない