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宣戦布告ローレン話


【ローレンvsロベルト】


自宅で1人パソコンを開いて調べものをしていたら、携帯ではなく電話が鳴った。

「もしもし」
「こんばんは、ロベルト神父」

珍しいな、と思いつつ出てみたら、受話器から聞こえてきた声は若い…誰だろうか?
専ら必要な連絡は携帯で済ませる事が多く、自宅の電話番号を知っているなんて限られた人しかいないはずだ。まして、少年にも思える声の知り合いなど心当たりがなかった。

「どちら様ですか?」
「こうして直接話すのは初めてだったかな、分からないか?」

声の印象とは不釣り合いな、威厳さえ感じる尊大な物言い…まさか。

「ローレン…?」
「当たりだ。初めまして、と言うべきかな?」
「どうして…」
「何故番号を知っているか?バチカンのありとあらゆる情報を自由に見られる立場だったのでね。何故君に電話をかけたか?平賀は監視されている可能性があるし、君に用があってね」

早口に僕の疑問を先回りして答えるその声に、先日平賀から聞いたローレン逃亡の話を思い出した。
そう、彼は追われている身だ。

「今一体どこにいるんだい?」
「おっと、その質問には答えられないな。用件だけ手短に伝えるよ」

用事?平賀にでなく、僕に?

「しばらく君に任せておくけれど、時が来たら平賀を迎えに行くから。それまでよろしく」

一瞬なにを言われたのか分からなかった…が、少し遅れて頭を殴られたような衝撃が走った。

「これは宣戦布告だよ、ロベルト神父」

音が消えたような錯覚。
気付いたら、電話は切れていた。




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これもツイッター突発ネタ。
少し修正しましたが、短いなぁ…(^^;)


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平賀崩壊話

騒ぎを聞いてサン・ピエトロ大聖堂の後陣に駆けつけると、聖ペテロの玉座の前で今まさに銃を構えてステンドグラスに狙いを定めている友の姿があった。

「やめてくれっ、平賀!」
「…ロベルト」

振り向いた平賀は、今まで見た事がない、感情の見えない虚ろな笑顔を浮かべた。

武装したバチカン警察とスイス衛兵隊が取り囲む中、最悪の事態を避ける為に彼らの前に歩み出た。

「平賀、どうしてこんな事を!」

この場所はいつも2人で神に祈った場所だ…礼拝の場所としてだけでなく、2人にとってとても大切な空間だったはずだ。

「ここで、祈ってくれましたね」

銃口をステンドグラスに向けたまま、平賀は抑揚のない声で話し始めた。

「良太のために、病気がよくなるようにと、あなたは祈ってくれた。でも、良太は助かりませんでした…まだあんなに小さかったのに天に召されました…ショックのせいか父も同じ日に心臓発作で…」

平賀が話したその事実を受け止められるだけの冷静さはなかった…そんな話をこの状況で聞いている自分が信じられなかった。

「祈っても駄目でした…母に良太、父まで失いました…神は私から家族を奪った!」

銃声とともにキィーンと甲高い音が響いてステンドグラスが割れた。

「次はあなたを失うかもしれない…そうしたらもう私は生きていられない」

飛び散ったガラスから視線を戻すと、ゆっくりと平賀は銃口を自分のこめかみに据えた。

「平賀…!」
「あなたまで奪わせはしない…さよなら、ロベルト」
「やめろー!!」


――伸ばした手は、届かなかった。



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ツイッターに載せた突発的な小話。
字数に縛られて若干やっつけ仕事な感じに…とりあえずここに保管。

万が一にも平賀はこんな事にはならんと思います←


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