話題:SS
 聖が居ないと家の中は静かで、僕は時間を持て余している。
 する事もなくただ暑い日差しが差し込む窓際に座っていた僕の視界に、暇だろうからと聖が図書館で借りてきてくれた本が見えて、何気なく手をのばしてみた。
 のばした自分の腕がぞっとするほど白く見えて思わず体の奥の方が冷えた。
 手繰り寄せた本の表紙を開いてただ流れる時間に身を委ねていると背中にじわりと重みを感じる。
 雅が人の背中に寄りかかりながら喉を鳴らすのが聞こえて溜め息をついた。
「重いし暑苦しいよ、雅」
「いいじゃねぇか、俺はここが好きなんだからよ」
「聖は平気なのか?」
「大丈夫だ、それより俺はアンタの方が心配だ」
 余計なお世話だよと笑うと雅も小さく笑った気がした。
「まあ、互いに短い付き合いなんだ。仲良くやろうや」
「そうだね」
 僕が頷くと雅は気を良くしたのか更に体重をかけてきた。
「そんなにすると」
「あ?」
 僕が堪えきれなくなり前のめりに転げると、雅はそのまま僕の上に乗っかってじゃれついてくる。
 鬱陶しいけど、嫌ではなかった。
 いつの間にか本は手から離れていて、視界の端でソレと認識する。
 僕はもう本を読もうと思えず雅を押しのけ仰向けに転がった。天井が見える。
 雅は僕の腹の上で丸まった。黒い毛並みの猫の雅。
 柔らかな毛並みを指先で弄びながら、瞼を閉じて幸せな終わりを告げる物語に思いを馳せる。
 心のどこかでそんな物語を羨みながら。



コロッケって甘いよね!
美味しいね(笑)
ダイエットの敵だよ全く`・ω・