今日もたくさんの仕事に追われる真選組。
真選組副長である土方もその中の一人で、部屋中は煙が充満していた。
「ったく、総悟のやつ。次から次へと…」
苛立ちを隠せない土方の手元には、沖田がバズーカ使用により破壊された建物の請求書ばかり。
「はぁ……あ、やべ。タバコ切れちまった」
気づくと、土方の手元にあったはずの数本のタバコは灰と化してしまった。
苛立ちが収まらない土方は、仕事に集中することが出来ずにいた。
―――マヨネーズで気晴らしでもするか
気だるげに台所へ向かい、【副長専用】と書かれた冷蔵庫へ手を伸ばす。
【副長専用】とは、文字通り副長である土方専用の冷蔵庫である。
この冷蔵庫は、普通の冷蔵庫と隣り合わせに置いてある。
使用しているのは当然ながら土方のみだ。
がちゃ....
冷蔵庫を開けて覗いてみると、掃除でもしたのかと疑うほど綺麗に中身がからっぽ。
「昨日でマヨネーズ切れてたのか…買いに行くか」
「あり?どこに行くんですかィ、土方デストロイヤー」
「誰がデストロイヤーだ!デストロイヤーはお前だろ!!マヨネーズが切れたんだよ。ちょっと出る」
「忙しいのにマヨネーズの為に外出たァすげーや」
「誰のせいで忙しくなってんだよコラ!なんなら総悟、お前が買ってこい」
ほら、と土方のポケットから数千円。
差し出されたお金を受け取ることをしない沖田は、これ以上ないくらい嫌な顔をした。
「おい何だそのこれ以上ないくらい嫌そうな顔は!」
「いや、もともとです」
「どんな顔だ!」
行き場を失ったお金をもう一度ポケットへ捩込む土方。
「土方さん、この際だから言わせてもらいやす。アンタ、マヨネーズ食べ過ぎでさァ。体悪くしやすぜ」
「関係ねーな。マヨネーズは近藤さんくらい大事なモンなんだよ。それを今更やめろだ?冗談じゃねぇ」
そう言い残し、土方は台所を去った。
屯所を出た土方はいつものスーパーへと向かう。
普段通り、マヨネーズコーナーへと足を進める。
しかし唯一普段と違う光景が土方の目に飛び込んできた。
「売り切れ、だと…!?」
更に残酷な文字が目に飛び込む。
「入荷予定なし!?どうなってんだよ!!仕方ねぇ…次の店行くか」
落胆し、屯所から少し遠いスーパーへと足を進める。
「畜生、イライラしやがる。タバコ…………」
内ポケットへ手を伸ばすが、そこにタバコはない。
土方は更なる苛立ちを感じた。
「あーツイてねぇ。自販機で買うか」
そう呟き、歩みを進めるがまったく自販機を見つけることができない。
「おいおいおいおい、シャレになんねーぞ。まぁスーパーに入りゃタバコぐらい、」
不意に言葉が止まる。
いや、止めざるを得なかった。なぜなら…
【本日、臨時休業致します。大変申し訳ありません】
の文字。
タバコもマヨネーズも手に入らない。
さすがの土方も怒り爆発である。
「なんでなんでもない平日に店閉めてんだ!マヨネーズとタバコを販売しない容疑で店検挙すっぞコラァァァァァ!!」
「何してんですかィ土方さん…」
「っ!?」
声のする方に視線を移すと、明らかに引いた表情の沖田がいた。
対する土方は店に向かって一人で馬鹿騒ぎ。
「マヨネーズが………マヨネーズがねぇんだよ!!!タバコの自販機もねぇ!どうなってんだ!!!!!!!!なんで総悟がここにいんだ!!!!!?」
「すいやせん、そのテンション面倒なんで。それに俺ァ、今日はこの地区のパトロールでさァ」
「パトロールだぁ!?どうせサボってやがんだろ!」
「土方さん、ホント面倒なんでそのテンション。切腹するかその入口のガラスに頭突っ込むかどっちかにして下せェ」
「どっちも願い下げだわ!!ぐっ…!」
「? 土方さん?」
不意に苦しみはじめ、土方は地面に倒れこんだ。
さすがの沖田も心配になり、土方を支えた。
「汗、ヤバいでさァ」
―――やべぇ、なんでだ…!?この感覚…
「いったん屯所戻りやしょう。山崎に電話してパトまわして、」
「大丈、夫だ…落ち着けば……だ、大丈夫でござ…!」
「ござる...?!」
語尾に違和感を感じた沖田は、土方の顔を覗き込む。土方の表情は今までの凛々しい顔立ちから、どことなくヘタレた表情へと変化していた。
「アンタまさか…!」
「プススス...久しぶりでござる、沖田氏」
そこには先ほどまでマヨネーズだ、タバコだと騒いでいた鬼の副長の土方はもういなかった。
「何でトッシーが…」
「マヨネーズ、タバコ。この2つが不足し過度なストレス状態から僕が呼び起こされたんでござるよ」
「マヨネーズ…タバコ…」
―――じゃあ土方さんはこのままマヨネーズとタバコの摂取がないと戻らねーってこと…じゃあ副長は俺になる!?
「分かった。テメーはそのままタバコもマヨネーズも禁止でさァ。そうすりゃ俺が副長。給料も上がりまさァ。その上がった給料で何でも好きなアニメグッズ買ってやりまさァ。どうですかィ?悪くねー話だと思いますぜ」
ニヤリとニヒルな笑みを浮かべ、沖田はトッシーを見る。
「その話、のったでござるよ。一生沖田氏について行くでござる!プススス...」
「おう」
―――これで俺は副長に。
「って夢見やした」
「やめろォォォォォオオ!!!!」
END
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そら様、お待たせいたしました。
リクエストに沿えているかわかりませんが(´;ω;`)
こんな駄文でよろしければ、受け取って下さい!
3/16 あかり