話題:叶わない恋
それからと言うもの、ライブの前後の入り待ち&出待ちは必須になった。
ライブ前はなかなか話す機会はないけど、
ライブ後は少しだけど挨拶をかわしたりすることもあって、
毎回友達と浮かれあった。
何通もファンレターを渡していたら、数回に一度はHから返事をもらうこともあった。
人気者のボーカルのファンの友達はなかなかライバルが多くて、挨拶することすら難しかったけど…
Hのファンは少ない上に地味でおとなしい子も多くて、
いつしかわたしはHのファンとしては有名になりつつもあったと思う。
ライブに行くために、高校はアルバイト禁止だったけど、コンビニでバイトした。メジャーなバンドと比べたら小さい箱でやってるしチケット代は安かったけど、
月1万のおこずかいじゃ全然足りない。
バイトと学校の両立は大変だったけど、それでもHがくれた手紙を見たらいくらでも頑張れた。
Hのことが好きになってからは、それまで以上に身近な男が汚なく見えた。
微笑みかければだらしなく顔を緩める男達と違って、
どんなに気持ちを伝えても手が届かないHが、すごく特別な人だって思えたんだ。
アルバイト先のコンビニの店長からセクハラを受けても、
Hと会うために…ってひたすら我慢して働いた。
制服を着替える時に覗かれてるのも知ってたし、
何かと肩を抱いてきたり、
狭いレジの中ですれ違いざまにお尻を触ってきたり、
もう全部が全部気持ち悪かったけど、
なかなか学生が働けるアルバイトは無いし、我慢した。
「彼氏いるの?」って聞いてくる店長やほかのバイト仲間には、
はっきりと「いる。」って嘘をついてたのにも関わらず店長はしつこくて…
わたしが高校を卒業する少し前にバイトを辞めるって伝えた時、今制服を返して欲しいってそのまま脱いで返したけど…
普通はクリーニングしてから返すらしいんだよね。
最後の最後まで気持ち悪かった。
そんなアルバイトの思い出。