話題:びっくりしたこと

今日、同期の女の子、あびる優似のあびるさんから一緒に帰ろうと誘われて二人で更衣室に入りました。お互い離れた場所で制服を着替えながら他愛のない会話をしていると、不意に彼女が「ハウさんっていつが暇ですか？」と聞いてきました。

わたしは先日の出来事からまた食事に誘われるんじゃないかと身構え、「いつが暇。うーん、いつが暇……」と言葉を濁しました。すると「ハウさん男子会来ませんか？【藤ヶ谷太輔似の】藤ヶ谷と森山とあたしでご飯食べようって話になってるんですけど、藤ヶ谷がハウさんと普段接点ないからハウさん呼んでほしいって言ってて」との返事。「ええ……、そういうのはあびるさん一人で行きなよ〜」「何でですか！あたし女一人で行きたくないからハウさん誘ってるのに」「じゃあわたしじゃなくて吉岡さんにしたらいいよ」「吉岡も誘ったらハウさん来ます？」「うーん……」

これ以上誤魔化せないと思い、わたしはロッカーの影から顔を出してあびるさんの前に出ました。「でもわたし、７月で仕事辞めるよ」瞬間、あびるさんの目が大きく見開かれました。「は？え？えっ？何でですか？」「あのね……簡単に言うとわたしはここの利用者さん達と同じなの。発達障害と学習障害の当事者なの」「ちょっと待ってください。頭がパニックであたしがおかしくなりそう」あびるさんはその場にうずくまり、顔を覆いました。落ち着くまでのしばらくの間、わたしは何度か「ごめんね」と言いました。

事の経緯を伝えるとあびるさんは「川村課長のところに行ってハウさんの退職届け無効にしてもらうように言ってくる。あたし新入社員の中で一番行動力あるから。ハウさん大丈夫ですよ、今ならまだ撤回してもらえるから」と立ち上がり更衣室の外へ出ようとしました。「あびるさん、辞めない方向で話進めてるけど、もう退職届け受理してもらったの。わたしは７日でお仕事辞めるの」「だって嫌ですよ、なんで勝手に居なくなっちゃうんですか。発達障害の事みんなに打ち明けて、それでそのままここに居てください」

あびるさんは「ハウさんの事すごい天然ちゃんだよねってみんなで言ってました。天然ちゃんキャラでムードメーカーとしてこのまま居たらいいじゃないですか。障害とかじゃなくて……」と言ったっきり泣き出してしまいました。それから「後ハウさん、その服後ろ前です」と。わたしはボーダーのＴシャツを前後逆に着ていたのです。「あああ……ほら、こういうところがおっちょこちょいなんだよ……」「大丈夫ですって！天然ちゃんで許されますって！わたしやっぱり川村課長に言ってきます」

更衣室を飛び出そうとするあびるさんを説得するのに、１時間かかりました。最終的には何とか納得してくれましたが「どうせハウさんの事だから送別会もしてほしくないとか言うんでしょ。迷惑かけたくないって。でもわたし７日シフト入ってないからハウさんに会えないんですよ。そういうあたしの気持ち、無視しないでください」と言われたのには、少しこころが痛みました。

「ハウさんの大親友の森山くんはどうするんですか」「森山くんの事は、あびるさんお願いします。あの子は頑張りやだから、ちゃんと水を与えたら太陽に向かって真っ直ぐ成長すると思う」「あたしは態度キツいから、森山には優しくできないですよ。ハウさんが側で見守ってやってくださいよ。もうハウさんの馬鹿！頑固者！」あびるさんが泣きじゃくる度、ごめんなさいと謝ったけれど、謝る事が正解なのかよく分かりませんでした。ただ言えるのは、あびるさんは本当に自分の事を想って悲しんでくれたんだろうという事です。多分それは合っていると思います。うーん、この記事を書いていたらあびるさんの泣き顔が思い出されて、胸が痛くなります。

拍手してくれた方々どうもありがとね。

＞小島さんへ
はい。はい。……はい。ほんとーーに、人に甘える事がとても苦手です。これはもう子供の頃からの性格の癖なのかもしれません。たしかに小島さんの言うとおり、意地悪してくる人に比べたら、気を遣ってくれる人の方がずっとマシですね。そういう風な考え方をいつもできたらなあ。