19/03/03 15:49 (:小説)
ついったログ(〜2/24)


(原作・現パロ・卑猥混合)



まさか手を上げてくるとは思わなかったのだ。
その激昂が、弟への執着が、やけに子供じみていて、夜闇を駆けながら思い返しては笑いを漏らした。
保護者面の下に隠した素顔をこれから何度でも暴いてやろう。
後日振りかぶった手の平は仕返しなどではない。
ひねくれた親愛の証だった。
(ビンタ)




「っか〜〜!アレが噂の“兄貴組”かい!」
「おうよ、弟に過保護な辰之助と、辰之助にこっそり過保護な山崎ももはや屯所名物だな」
「仲睦まじいね」
「聞いて驚け。アレで『親友だ』と言いはってるらしいぞ…」
「は……ハァ!?ありゃどう見ても鉄之助を挟んでの夫婦だろ!?」
(付き合ってないのに夫婦)



事あるごとに毒を吐くくせに、診察の時は嫌になるほど乱暴なのに、ふとした瞬間に触れる指は驚くほど優しい。
戦を知る彼の瞳には、俺には気づけない未来が見えることもあるのだろう。
大切だと思い、大切だと思われるほどに突き放される優しさが、染み入るように痛んだ。
(壊れ物に触れるように)



烝が腰を深く穿つと辰之助の背がヒクリと仰け反った。
「……イった?」
分かりきった事を問うたのだが、彼は小さく首を振る。
恋人のささやかな反抗に、烝はにんまりと口角を上げた。
達したばかりの身体を揺さぶる。
「おれの仕事知らんとは言わせへんで?身体の反応で筒抜けなん」
(からだは正直)



「なー、辰之助。悪かったって。大切に残しといた羊羮食ってしもてすまんかった」
「……」
「鉄之助のやと思うてん」
「なお悪い」
「頼む、反省しとるから許してくれ」
「……口吸い、してくれたら」
「ほんまか!?そんなん幾らでも−−」
「ただし、地面とな!」
「すぐに代わりの羊羮買うてくるわ」



貴方は萌えが足りないと感じたら『寝ている相手のおでこにチューしているスス辰』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
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目が覚めて隣に烝の寝顔を見る時、辰之助は言い様のない気恥ずかしさと幸せを感じる。
彼の身動ぎに覚醒しないということは、それだけ気を緩めてくれているのだ。
今朝は殊更にそれが嬉しく思われ、辰之助は烝の額に唇を落としてからそっと部屋を抜け出した。
――烝がひそりと笑ったのには気づかずに。





スス辰は『どちらかが愛を叫ばないと出られない部屋』に入ってしまいました。
180分以内に実行してください。
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「(……素直に叫ぶのは恥ずかしいけど、烝が叫ぶってのも想像できないし……よし!)……す」
「好きやー!俺は、辰之助のことが、ほんまに好きなんやっ!!!」
「!?」
ピロリン♪
「よっしゃ、開いたな。辰之助、出るでーーどないした?」
「(不意打ちのどストレート告白が嬉しくて倒れる)」



『I love you』をスス辰風に訳すと「言わないつもりだったのに」になりました。
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反射的に答えてしまい凍りついた。
ぎこちなく顔を上げれば、烝は意外な言葉に目を瞬いている。
欧米の本が手に入るようになり、彼の読書好きに拍車のかかるこの頃。
意味を聞かれる度教えていたら、ついこんな恥ずかしい言葉まで訳してしまった。
「そしたら、これ何て読むん?」
「言わない、教えない!」



斜め前を歩く辰之助の手が不自然に揺れていることに気づいたのは、屯所を出て暫く経ってからだった。
先程までは伸ばされていなかったはず、と人混みを避けながら進む。
何かを探すように揺れるそれを見つめ、ふと思いつく。
彼の手首を捕まえ、足を止めさせた。
「俺は弟とちゃうで?」
「え?……あっ!」
「ほんまにもう……恋仲の相手と弟を間違えるとかありえへんって」
「……俺とお前、恋仲なのか……?」
「え?」
「え?」
(恋仲なのは妄想なのか、恋仲になっていた自覚が無かったのか。たぶん後者だよ)



「なあ、ススム」
「何や?」
辰之助に肩を叩かれ、烝はごく当たり前に振り返った。
プニ、とした感触と共に、人差し指が彼の頬にめり込む。
「おお、引っ掛かるとは意外だ」
後ろに立っていた辰之助はニコニコと烝を見つめている。
烝は溜め息をつき、身体ごと振り向くと相手の肩をしっかり掴む。
「ほう……それで勝ったつもりか?」
「え?いや、勝つも負けるも何も」
「人にするってことは、自分もされる覚悟あってのことやろ?」
プニ、と烝の指が辰之助の頬にめり込んだ。
彼は何度もその頬をつつく。
「こら、やめろ、やめろって」
「やめへん。俺の気が済むまで付き合ってもらうからな」




「姉貴と辰之助、結婚するん……?」
聞いて欲しいことがある、と切り出された内容は俺にとって死刑宣告にも等しいものだった。
隣ではしゃぐ鉄之助の声が、やけに遠く聞こえる。
「これで俺たち、本当に兄弟になれるだろ?」
兄弟同然の関係に甘んじた結果がコレならば、今まで何のために耐えてきたのか――。

――目が覚めて、それが夢だと自覚するよりも早くベッドを飛び出した。
1階に降りて、顔を洗ったばかりらしい辰之助の肩を両手で掴む。
「辰之助!辰之助は俺と結婚するんやんな!?」
「しないかな!ってか出来ないな!」
「どーしたんだよススム!?」
「どうせ変な夢でも見たんやろ?放っとき鉄くん」
※ちなみにこれは、市村兄弟と山崎姉弟と沙夜ちゃんが一つ屋根の下で暮らしている(主に私が)楽しい設定の現パロ。



(またやっちまった……!)
ほのかに朝日が差し込む寝床の中で、俺はまた頭を抱えていた。
昨夜もとてもよく眠れた。
それは良いのだが、問題はここが烝の私室であり烝の寝床の中で熟睡してしまったことにある。
もっと明確で、されど明言を憚られる目的でここに来たはずなのに、何故いつもこうなるのか。
答えは簡単だ。
(居心地が良すぎるんだよなぁ……)
床を共にするといのは、こんなにも穏やかな気持ちをもたらしてくれるのか。
そっと薄目を開けて見れば、安らかな寝息を立てる烝の寝顔が目の前にあった。
まあ、いいか。
そう思わざるを得なかった。



烝が医者の勉強を始めてから、めっきり会うことが減った。
たまに屯所に帰ってきても診察の手伝いや勉強で手一杯なのだろう、話さないまま気がつけば松本先生の元へ戻っている。
毒舌から解放されたという喜びは、案外長続きしなかった。
(ちょっかいを出されるのが恋しくなるとは思わなかった……)
『いじわる、されたい』



きっと仕方の無い事なのだ。
喜怒哀楽の抑え方は諭されど、愛情の殺し方は教わってこなかった。
『アンタの事、結構前から好きやってん』。
そう告げれば、辰之助はポカンと口を開けた。
「やっと言えたわ」



(2週目おまけマンガネタのスス辰スス)
「ススム、お前ってほんと、腹立つぐらい何でも出来るな。飯まで上手いのかよ。ずるいぞー」
「……味噌汁くらいやったら毎朝作ったるけど?」
「えっ?いやいや、医者の仕事だけでも忙しいんだろうし、そこまでしなくても……え?なぁ、何で睨むんだ?」





あまりにも茶番過ぎるスス辰が唐突に降ってきた。
「なあ、ススム。もし俺がお前と祝言を挙げたいって言ったらどうする?」
「は?嫌やし」
「!!!」
「そういうんは俺から申し込むって決めとんねん。やり直しさせてもらうわ」
「ス、ススム〜!!!」



(市村家と山崎家とが幼馴染みな現パロ小ネタ。辰兄とモブの会話です)
「つくづくお前が羨ましいぜ市村」
「え?何で?」
「だってさあ、お前の幼馴染み高スペック過ぎだろ。美人で面倒見も気っぷも良くて料理上手。しかも年上のお姉さんとか理想的だよなぁ」
「違うぞ。俺の方が3つ年上」
「……は?」
「あだ名は『アユ姉』だけど、彼女は年下」
「えっ、ややこしっ!?いやでも、年下は年下で美味しい」
「彼女と俺の間にフラグが立つことは永遠にないけどな」
「何でさ?」
「言ってただろ。幼馴染みの弟の方が嫉妬深いんだ」
(意味がわかるとスス辰)



(『超人上司は未経験』のパロディ。セリフとか改変。このスス辰は恋仲ではありません)

「山崎は何でも出来てほんと凄いよな。忍者で医術も身につけて料理も上手いとか。歳下なのに、俺の何倍も色々経験してるだろうし……」
「いや、経験してへん事もようさんあるで」
「へえー……でも殆ど」
「恋愛とかな」
「……!?」
「(つ、つまり、コイツ童貞!?や、やばっ!これはやばい、踏んじゃいけないとこ踏んだ!?いや、マジでか!?)」
「……何なん?」
「やっ、山崎はこんなに男前なのにな!女の人たちは見る目ないなぁ〜」
「まあ、今まで誰かにそんな気持ちになった事もあらへんし、別に必要性も感じとらんけど…」
「(これ、話題を変えた方が良いな……うわぁ、しまったなぁ……ええと、どうやって話を逸らそうか)」
「アンタはしたことあるん?」
「んー……えっ、あ、うん?(しまった、話聞いてなかった)」
「あっそ、経験あるんや」
「(げぇ!?よりによって一番否定すべき質問に生返事しちまった!)あ!で、でも俺だって処女だから!うん、大丈夫だって!」
「……?」
「(なっ、何が大丈夫だってんだ、俺ー!混乱しすぎて自分でも訳わからんことを!!!)」
「……そしたら、後で俺に教えてくれへん?」
「何を?」
……っていうところで終わっとけ。



スス辰バレンタイン
烝「どうせチョコなんざ用意しとらんやろ!?代わりにフンドシで我慢しといたるわ!」
辰「バカか!用意してるわ!!!」



やらかした、と胸の内で呟く。
自ら押し倒した辰之助の両手首を押さえ、顔を真上から見下ろすこの体勢。
せめて彼がその意味に気づかないほど色事に疎い男なら良かったのだ。
分かってながら拒みきれず揺れる瞳に、こちらまで無意識に息を詰めてしまう。
やらかした、俺自身の心の準備が出来ていなかった。


next..
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