話題:突発的文章・物語・詩

…ドラマ放送の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。

本日先程、東京葛飾区のトンカツ屋《メルヘン豚ちゃん》において、食べていたロースカツ定食の右端のカツが全部脂身だった事に腹を立てた客の男性が、厨房のキャベツを人質に店に籠城するという立て籠り事件が発生しました。

駆けつけた警察官に対し、男は手に持った凶器のスライス檸檬を振り回しながら「近寄るな!近寄った奴にはレモン汁を浴びせてやる!目に入ったらシミるぞ!」と威嚇。事態を重く見た警察が急遽、大量のおしぼりを用意するなど、現場は一時騒然となりました。

その後、立て籠った男は店に対し再三に渡りお冷やのお代わりを要求するなど落ち着かない様子を見せていましたが、警察官の「特別にポイントスタンプを3個押すよう店長に頼んであげるから」の説得に応じる形で投降し、人質のキャベツも無事解放されました。

警察の取り調べに際し男は「大人げない事をしてしまった。洗っていない手でベタベタ触ってしまいキャベツには本当に申し訳ない事をした。スタンプが貯まって来たので今度はヒレカツ定食かササミカツ定食を頼むようにしたい」と反省の態度を示しながらも「取り調べ室と言えばカツ丼ですよね?」と、並々ならぬトンカツへの執着を見せていた。


さて、特別報道スタジオにはゲストとして、たまたま局の廊下をうろついていた暇人のお二方にお越し頂いております。まずはどんな話題でも決してブレないコメントをする事でお馴染みの国民的コメンテーターの林さんです。林さん、都会の死角をついた形で起こった今回の人質立て籠り事件。どうお考えでしょうか?

林「えっ、何か言った?ごめん、ぜんぜん話聞いてなかったわ。ごめんごめん。本当、スペシャルでごめん」

ありがとうございました。以上、スペシャル“ごめんテーター”の林さんにお話を伺いました。人の話を全く聞かないその態度、相変わらずのブレなさです。

続きましては、世界のあらゆる事情に精通する世界的ジャーナリストの富勝さんにもお話を伺いたいと思います。富勝さんは今回の事件に関してどのような見解をお持ちでしょうか?取り調べ室でカツ丼が出てくる事は絶対に無いと聞いたのですが…。

富勝「知らんがな。てか、遅くなると電車混むから俺もう帰るわ」

えっ、帰るんですか?富勝さんにはジャーナリズムの観点からも今回の事件を解説して欲しかったんですが…

富勝「ん〜…いや、やっぱ帰るわ」

本当に?

富勝「じゃあな♪」

…ありがとうございました。“じゃあなリスト”の富勝さんにお話を伺いました。見事な“じゃあなリズム”でした。


それでは、ドラマをご覧の皆様、引き続き『日曜サスペンス劇場・三頭身刑事の事件簿〜デカい頭の名推理〜』をお楽しみ下さいませ。


〜おしまい〜。