話題:訳がわからない


どういう理由でか全身筋肉痛状態で目が覚めた。

筋肉痛になるような事は何もしていないはず。つまり、この筋肉痛には心当たりがまるで無いのだ。しかし――私は考える――現象には何かしら原因がある筈だと。そして、メガマックのように熟考に熟考を重ねた末、或る高カロリーな出来事にハタと気づいたのだった。

それは昨晩の夢。夢の中で私は森の中でフィールドアスレチックにいそしんでいた。その姿は時にターザンであり、時に熊のプーさんであった。その運動量はジャパンアクションクラブのトレーニング並み。更には、途中で横綱の白鵬とがっぷり四つに組んだまま30分以上にも渡る長相撲を取るというビッグなおまけ付き。因みにその取り組みは、私が“ずびずび投げ”という何かよく判らない変な投げ方で白鵬を敗った。

筋肉痛の原因として、それ以外には考えられない。恐らくは夢を見ている時、知らず知らず体に力が入っていたのだろう。

他にも、夢遊病で腕立て伏せや腹筋背筋、ヒンズースクワットをしたとか、筋肉痛星人に体を乗っ取られたとか、睡眠中に小人が小さなトンカチであちこちの筋肉を叩き続けたとか理由は幾つか考えられるが、正直その可能性は10%にも満たないと思う。やはり原因はオリビア・ニュートン・ジョン的“フィジカル”夢に違いない。ハッスルしすぎてマッスルがデヴィッドハッセルホッフになったのだ。

取り敢えず、原因が判ったのは良かった。後は自然に回復するのを黙って待つだけ。しかし……。果たしてそれで良いのだろうか?不自然な原因でなった筋肉痛は、不自然な対処で回復させるのが美しいやり方ではないのか?

そこで、シャンパンタワーのように熟考を積み重ねた結果、私は一つの素晴らしいアイデアを得たのであった。

寝ている時に起きた筋肉痛は、同じように寝ている時に治す。それこそが、“たった一つの冴えたやり方”だ。

その方法はこうだ…。サロンパスなりパテックスなりゴテンクスなり何でも良いので兎に角、湿布を大量に買う。その湿布を貼り合わせて特大の湿布を二枚作る。そして一枚を掛け布団に、もう一枚を敷き布団にして寝る。

完璧。

枕カバーはそのままでも良いだろう。何故なら、後頭部は筋肉痛になっていないからだ。


〜おしまひ〜。