話題:私の頭のなか


長らく不明とされてきた《いかめし》の起源が、意外や意外、神聖ローマ帝国に存在する事が判明した。

【ノーベルよっちゃんイカ賞】の初代受賞者としてもよく知られる世界的海鮮おつまみ学者“志井風人”(しい・ふうど)氏に拠ると、歴史に初めて《いかめし》が登場したのは神聖ローマ帝国の子供が書いた冬休みの絵日記であるという。

当時のクリスマスイブは現代と同様、子供たちは就寝時に靴下を枕元などに置き、サンタさんからのプレゼントを待つという風習があった。

ところが、ある一人の子供がうっかり靴下を全て洗濯してしまい、靴下の代わりに仕方なく生スルメイカ(内臓はもちろん抜いてある)を履いてクリスマスイブを過ごし、夜も生スルメイカをツリーに吊るして眠りについたそうだ。

その翌日。子供は、スルメイカの中に餅米が詰められているのを見つけた。言う迄もなく、サンタさんからのプレゼントだった。更に、その傍らにはレシピと爪楊枝が置かれていたという。

子供は餅米の入った生スルメイカをサンタさんから頂いた有り難いレシピ通りに、爪楊枝で横から刺し、醤油や水飴などで煮込んだ。そして完成したのが現代で言う《いかめし》の原形であり、その《神聖ローマいかめし》は後に、マルコポーロ的な旅行好きの人がシルクロード的な有名な道を通って日本へと持ち込んだそうだ。

《いかめし》の起源は神聖ローマ帝国のクリスマスにあったのである。

この世紀の大発見が発表された会見で志井風人氏は、取り囲むきしゃだんからの「【ノーベルいかめし賞】受賞への手応えは?」の問いに対し、「肴は炙ったイカでいい」と答えるに留まるも、その顔は大王イカのような自信に満ち溢れていたという。


【終】。